セミナー講師への謝礼は「相場がない」と言われがちですが、実際には講師のタイプと拘束時間でかなり明確なレンジがあります。分からないまま依頼すると、高すぎる謝礼で予算を壊すか、安すぎる提示で講師との関係を壊すか、どちらかが起きます。
本記事では、累計112件のセミナー・ウェビナー・イベントを企画し、講師の手配・交渉も数多く行ってきたAiWiLLが、講師タイプ別の謝礼相場、謝礼以外にかかる費用、依頼から当日までの実務マナーを解説します。
2016年よりB2Bイベントマーケティングに特化したキャリアをスタート。日本テレビ・Bitget等での実務を経て、2023年にSHIFT AI創業に参画しコミュニティ・スクール責任者として2年で3万人規模へのグロースを主導。2026年にAiWiLL株式会社を創業。年間100本超・累計参加者10,000人超のイベントを手掛け、「一度のイベントを半永久的なビジネス資産に変える」マーケティング設計を専門とする。SNS総フォロワー1万人超。(X,Instagram,TikTok - 2026年4月現在)
実力があるのに、競合に選ばれ続けている。 その差は、イベントの「設計」にあります。
集客・当日・二次活用・フォローまで、社長がイベントで権威性と売上を作るための全手順を一冊に凝縮しました。

まず結論:講師タイプ別の謝礼相場(90分・税別)
| 講師タイプ | 相場 | 向くセミナー |
|---|---|---|
| 社内の専門人材・取引先 | 0〜5万円(手土産・実費程度) | 社内研修・顧客向け勉強会 |
| 実務家・コンサルタント | 10万〜30万円 | BtoBの集客セミナー・専門テーマ |
| 士業(弁護士・税理士・社労士等) | 10万〜30万円 | 法改正・制度系セミナー |
| 大学教授・研究者 | 15万〜50万円 | カンファレンスの基調講演・権威づけ |
| 書籍のある著名専門家 | 30万〜100万円 | 集客の目玉・周年記念講演 |
| タレント・文化人・アスリート | 50万〜300万円超 | 大型イベント・式典(事務所経由が必須) |
オンライン登壇は移動拘束がないぶん、同タイプの2〜3割減が目安です。注意点として、講演料は依頼側の「予算」より講師側の「定価」が優先される世界です——予算が合わない場合の正攻法は値切りではなく、後述の「依頼の形を変える」です。
謝礼以外にかかる費用|見積もりに足しておくもの
| 費目 | 目安 | 注意点 |
|---|---|---|
| 交通費・宿泊費 | 実費(新幹線・飛行機は普通席/エコノミーが基本) | 遠方講師はグリーン車指定の場合も。事前確認 |
| 源泉徴収 | 謝礼の10.21%(100万円以下の場合) | 個人講師への謝礼は源泉徴収が必要。「手取り◯円」か「総額◯円」かを契約時に明確に |
| 資料作成費 | 0〜10万円 | 新規の書き下ろし資料を求める場合は別途が通例 |
| 打ち合わせ稼働 | 通常は謝礼に含む | 複数回の事前打ち合わせを求めるなら一言確認 |
| 録画・二次利用料 | 謝礼の50〜100%増し | 録画配信・アーカイブ販売は別契約。当日言うのはマナー違反 |
依頼の手順と実務マナー
- STEP1:打診(開催2〜3ヶ月前)——依頼文に「開催目的・対象者・人数・日時・会場・テーマ・謝礼額・録画の有無」の8点を最初から書く。謝礼額を伏せた打診は二度手間になり、印象も悪い
- STEP2:条件合意——謝礼(総額か手取りか)・交通宿泊・資料の扱い・録画可否を書面(メールで可)に残す
- STEP3:事前打ち合わせ(2〜4週間前)——参加者の属性と「聞きたいこと」を講師に渡す。講師の話が刺さるかどうかは、この情報提供の質で決まります
- STEP4:当日——控室・水・進行表・紹介文の準備。謝礼は当日現金なら封筒+領収書、振込なら期日を伝える
- STEP5:お礼(翌日)——お礼メールにアンケート結果を添えると、次回依頼が格段にしやすくなります
予算が合わないときの正攻法4つ
- 1. オンライン登壇に切り替える——移動拘束がなくなるぶん、2〜3割低い謝礼で受けてもらえることが多い
- 2. 講師のメリットを設計する——書籍の販売ブース・参加者リストとの接点・自社サービスの紹介枠など、謝礼以外の対価を組み合わせる
- 3. 対談・パネル形式にする——単独90分講演より、30分対談のほうが謝礼レンジは下がり、講師の負担も小さい
- 4. 自社登壇に切り替える——集客セミナーなら、外部講師の知名度より「自社の一次情報」のほうが商談につながることが多いのが実態です。テーマ設計はテーマのネタ50選、台本は台本テンプレートを使えば、講師費ゼロで開催できます
講師依頼チェックリスト10項目
- □ 1. セミナーの目的に対して講師タイプが合っている(権威づけか実務か)
- □ 2. 依頼文に8点(目的・対象・人数・日時・会場・テーマ・謝礼・録画)を書いた
- □ 3. 謝礼が「総額」か「手取り」かを明確にした
- □ 4. 源泉徴収(10.21%)の処理を経理と確認した
- □ 5. 交通・宿泊の条件を確認した
- □ 6. 録画・資料の二次利用の可否と追加費用を契約に入れた
- □ 7. 事前打ち合わせで参加者情報を渡した
- □ 8. キャンセル時の規定(講師都合・主催都合)を決めた
- □ 9. 当日の控室・進行表・紹介文を準備した
- □ 10. 翌日のお礼とアンケート共有を予定に入れた
講師への依頼メール文例|そのまま使える全文
打診メールは「8点(目的・対象・人数・日時・会場・テーマ・謝礼・録画)を最初に書く」が鉄則。曖昧な打診は二度手間になり、印象も損ねます。そのまま使える文例を載せます。
| ◯◯先生
突然のご連絡失礼いたします。株式会社△△の□□と申します。 この度、当社主催のセミナーにて、◯◯先生にご講演をお願いしたくご連絡いたしました。下記の通りご検討いただけますでしょうか。 ・目的:製造業の経営者向けに、◯◯の最新動向を学ぶ機会の提供(新規顧客との関係構築) ご多忙のところ恐縮ですが、ご検討のほどよろしくお願い申し上げます。 |
この文例の効きどころは「謝礼20万円」と「録画なし」を最初に明記している点です。これがないと「いくらで受けるか」「録画は使われるのか」の探り合いが始まり、合意まで往復が増えます。予算が合わない場合はオンライン登壇への切り替えや対談形式を提案する一文を添えます。
源泉徴収の計算例|「総額」と「手取り」で会社負担が変わる
個人講師への謝礼は源泉徴収(100万円以下は10.21%)が必要です。「謝礼20万円」が総額なのか手取りなのかで、会社の支払額が変わります。同じ「20万円」でも下表の通り別物です。
| 取り決め | 計算 | 講師の手取り | 会社の総支払 |
|---|---|---|---|
| 「総額20万円」(源泉込み) | 20万円から源泉20,420円を差し引く | 179,580円 | 200,000円 |
| 「手取り20万円」(源泉別) | 20万円÷(1−0.1021)≒222,765円が額面 | 200,000円 | 222,765円 |
差額は約2.3万円。少額に見えますが、著名講師で謝礼50万・100万円となると差は数万円〜10万円規模になります。契約時に「総額か手取りか」を一言確認するだけで、後の精算トラブルを防げます。なお法人(講師の所属事務所)契約の場合は源泉徴収が不要なケースが多いので、契約形態も確認してください。費用全体をイベント予算に組み込む際はイベント費用の早見表、社内承認は稟議書テンプレートとあわせてどうぞ。
講師手配を含めて、セミナーごと任せる:AiWiLL
AiWiLLのWiLLWEBINARは、60分ウェビナー1本15万円(税別)で企画・集客・当日運営・フォローまでを一気通貫支援します。テーマに合う講師の選定・打診・条件交渉の代行や、「外部講師を呼ぶべきか、自社登壇で十分か」の判断からお手伝いできます。リアルセミナー・式典での記念講演はWiLLCREW・WiLLSTAGEが対応します。
累計企画数112件、累計参加人数10,551名、顧客満足度94.9%、平均申込率52%——経験上、集客を決めるのは講師の知名度よりテーマ設計です。その設計から一緒にやりましょう。
よくある質問
セミナー講師の謝礼相場はいくらですか?
90分でコンサルタント・士業クラスが10万〜30万円、書籍のある著名専門家が30万〜100万円、タレント・文化人は50万〜300万円超(税別)が目安です。オンライン登壇は2〜3割減が相場です。
講師への謝礼に源泉徴収は必要ですか?
個人への講演謝礼は源泉徴収(100万円以下なら10.21%)が必要です。「総額30万円(源泉込み)」か「手取り30万円」かで会社負担が変わるため、契約時に必ず明確にしてください。法人(事務所)契約の場合は源泉不要のケースが多く、契約形態を確認します。
謝礼の金額は打診時に伝えるべきですか?
伝えるべきです。謝礼を伏せた打診は「いくらなら受けるか」の探り合いになり、二度手間かつ印象を損ねます。予算に上限があるなら「謝礼◯万円+交通費実費でご相談できますか」と最初に書くのが誠実で速い方法です。
講演の録画を配信したい場合はどうすればいいですか?
録画・アーカイブ配信・切り抜き利用は講演とは別の権利で、謝礼の50〜100%増しが通例です。依頼時に録画の有無と利用範囲を必ず契約に含めてください。当日や事後に申し出るのはマナー違反です。
予算が少ない場合、講師は諦めるべきですか?
選択肢は4つあります。オンライン登壇への切り替え、講師メリット(書籍販売・サービス紹介枠)の設計、対談形式への変更、そして自社登壇です。特に集客セミナーでは、自社の一次情報のほうが外部講師の一般論より商談につながることが多くあります。
講師はどこで探せばいいですか?
業界団体・出版社経由・講師紹介エージェント・SNSでの直接打診が主なルートです。エージェント経由は手数料が乗りますが、条件交渉とトラブル時の窓口を任せられます。テーマとの適合判断から代行会社に任せる方法もあります。
まとめ:講師費は「タイプ×拘束×権利」で決まる
講師の費用は、タイプ別相場で見積もり、源泉徴収と録画権利を契約で固め、予算が合わなければ依頼の形を変える——この3つで失敗しません。そして最後にもう一度:集客を決めるのは講師の知名度よりテーマ設計です。講師選びの前に、企画の設計を固めてください。

