SaaS企業のウェビナー活用法|リード獲得から商談化までの設計

SaaS企業のウェビナー活用と商談化のアイキャッチ

SaaS企業ほどウェビナーを「リード獲得の一手段」として狭く使っているのは、もったいない話です。サブスクリプションというビジネスモデルでは、新規獲得・商談化・オンボーディング・解約防止・アップセルのすべてが売上を決めます。そしてウェビナーは、この全フェーズに同じ仕組みで効く、SaaSにとって数少ないチャネルです。

AiWiLLは累計112件のウェビナー・イベント企画を支援する中で、SaaS・IT企業の開催を数多く設計してきました。本記事では、SaaSのカスタマージャーニーをファネル5段階に分け、それぞれの段階で機能するウェビナーの型、プロダクトデモの見せ方、SaaS特有のKPI設計、そして月次で回す運用体制までを解説します。「毎月開催しているが、パイプラインへの貢献を説明できない」状態から抜け出すための設計図です。


赤堀亘
監修者 AiWiLL代表 赤堀亘

2016年よりB2Bイベントマーケティングに特化したキャリアをスタート。日本テレビ・Bitget等での実務を経て、2023年にSHIFT AI創業に参画しコミュニティ・スクール責任者として2年で3万人規模へのグロースを主導。2026年にAiWiLL株式会社を創業。年間100本超・累計参加者10,000人超のイベントを手掛け、「一度のイベントを半永久的なビジネス資産に変える」マーケティング設計を専門とする。SNS総フォロワー1万人超。(X,Instagram,TikTok - 2026年4月現在)


実力があるのに、競合に選ばれ続けている。 その差は、イベントの「設計」にあります。
集客・当日・二次活用・フォローまで、社長がイベントで権威性と売上を作るための全手順を一冊に凝縮しました。

目次

まず結論:SaaSのウェビナーは「ファネル5段階×型」で使い分ける

段階 ウェビナーの型 テーマ例 KPI
① 認知・リード獲得 課題解決型(製品の話をしない) 「〇〇業務の属人化を解消する仕組みづくり」 新規リード数・ターゲット合致率
② 比較・検討 デモ・比較型 「〇〇ツールの選び方と実演デモ」 商談化数・トライアル開始数
③ 導入・オンボーディング 使い方・定着型(既存顧客向け) 「初期設定から最初の成果までの30日間」 アクティブ化率・サポート問い合わせ減
④ 活用・拡大 応用・事例共有型 「ユーザー事例に学ぶ応用テクニック」 機能利用率・アップセル商談数
⑤ 解約防止 定例・コミュニティ型 「月例アップデート&Q&A会」 参加顧客の継続率・NPS

重要なのは、1本のウェビナーに複数段階を背負わせないことです。新規リード向けの回でプロダクトデモを長々とやれば離脱され、既存顧客向けの回で会社紹介をすれば時間の無駄になります。どの段階の誰のための回かを、企画の最初に1つだけ選んでください。

①認知段階|「製品の話をしない」が最初の関門

新規リード獲得のウェビナーで最も多い失敗は、製品紹介から始めることです。この段階の参加者はツールを探しているのではなく、業務の課題に困っています。テーマは課題の言葉で作り、製品は「解決手段の一例」として最後に触れる程度に抑えます。話す内容の8割は、製品がなくても役立つノウハウであるべきです。

「それでは製品が売れないのでは」という心配は不要です。ノウハウの質が高いほど「これを仕組みでやれるのがこのツールか」という理解が自然に生まれます。テーマの作り方はBtoBウェビナーテーマの決め方と100例を、タイトルへの落とし込みはウェビナータイトルの作り方を参照してください。

②検討段階|デモは「機能ツアー」ではなく「1ユースケースの完走」

検討段階のデモウェビナーで参加者が見たいのは、機能の一覧ではなく「自分の業務がこのツールでどう変わるか」です。デモの設計原則は3つです。

  • 1回のデモで1ユースケースを最初から最後まで通す。「請求書の作成から送付まで」のように、業務の始点から終点までを1本の流れで見せる。機能を飛び回るツアー形式は、何も記憶に残りません
  • ビフォーアフターで挟む。デモの前に「手作業だとこうなっている」を見せ、デモ後に「所要時間がこう変わる」と数字で締める
  • デモ環境は本番前に必ずリハーサルする。ライブデモはトラブルの名所です。録画デモへの切り替え判断を含め、リハーサルの進め方のチェックを通してください

出口は「無料トライアル」と「個別デモ(自社データでの相談)」の2段構えにし、温度に応じて選ばせます。参加者の温度分類とフォローはHOT/WARM/COLD分類と営業連携の型がそのまま使えます。

③〜⑤既存顧客向け|ウェビナーは最も安いカスタマーサクセス施策

SaaSの売上の大半はLTV——つまり契約後に決まります。にもかかわらず、ウェビナーを新規獲得にしか使っていない会社がほとんどです。既存顧客向けウェビナーの効果は明確です。

施策 内容 効果
オンボーディング定例会 新規契約者向けに「最初の30日」の設定・使い方を毎月同じ内容で開催 CS個別対応の工数を集約。アクティブ化率の底上げ
活用事例共有会 ユーザー登壇で応用事例を共有。質疑で横のつながりを作る 機能利用率の向上・解約予備軍の引き上げ・アップセルの自然な入口
月例アップデート会 新機能・改善の紹介+公開Q&A 「使われない新機能」の解消。顧客の声の収集

既存向けは申込率・参加率が高く、テーマも毎回ゼロから考える必要がないため、運用負荷は新規向けより軽いのが実態です。録画はそのままヘルプコンテンツ・オンボーディング教材になります(アーカイブ活用の設計)。

SaaS特有のKPI設計|「リード数」で止めない

SaaSのウェビナーKPIは、一般的な4段階(申込・参加・反応・商談化)に加えて、ビジネスモデル特有の指標まで接続して初めて投資判断に使えます。

段階 見る指標 注意点
新規向け リード数→商談化数→パイプライン金額→受注・MRR貢献 CRMでウェビナー参加をソース記録しないと、ここが永遠に測れない
検討向け トライアル開始数→トライアル後の有料転換率 ウェビナー経由トライアルは転換率が高い傾向。比較して価値を証明する
既存向け 参加顧客の機能利用率・継続率を非参加顧客と比較 因果ではなく相関だが、投資説明には十分機能する

計測の基盤(4段階ファネルの作り方・逆算の手順)はウェビナーKPIの設計方法で解説しています。SaaSの場合、そこにCRMのソース記録を1つ足すだけで「ウェビナーはパイプラインにいくら貢献したか」が言えるようになります。

月次運用の体制|「型化」しないと3ヶ月で止まる

SaaSのウェビナーは単発ではなく月次の運用です。続けるための要点は3つ——①新規向け・既存向けの2系統を分けて定例化する、②テーマは四半期分まとめて決める、③運営作業(告知・申込管理・配信・フォロー)を型化して属人化を防ぐ。マーケ担当が1人で抱えると、プロダクトリリースの繁忙期に必ず止まります。運営部分の外注も含めた分担の考え方はウェビナーは内製か外注かを参照してください。

SaaSウェビナー設計チェックリスト10項目

  • □ 1. 今回の開催はファネル5段階のどれか、1つに決めたか
  • □ 2. 新規向けの回で、製品の話を後半・最小限に抑えたか
  • □ 3. デモは1ユースケースの完走形式か(機能ツアーになっていないか)
  • □ 4. デモのビフォーアフターを数字で示せるか
  • □ 5. 出口は「トライアル」と「個別デモ」の2段構えか
  • □ 6. CRMにウェビナー参加のソース記録が残る設計か
  • □ 7. 既存顧客向けの定例(オンボーディング・活用会)を持っているか
  • □ 8. 録画をヘルプ・オンボーディング教材として二次活用しているか
  • □ 9. テーマを四半期分まとめて計画しているか
  • □ 10. パイプライン貢献額(または転換率比較)で投資を説明できるか

AiWiLLのWiLLWEBINARはSaaSの月次運用を支援します

WiLLWEBINARは、60分ウェビナー1本15万円(税別)で、企画・告知・当日運営・開催後フォロー・簡易レポートまでを一気通貫で支援するAiWiLLのウェビナー運用代行サービスです。SaaS企業に対しては、新規向け・既存向けの2系統の設計、デモ回のリハーサル、CRM連携を見据えたアンケート・データ整理まで、月次運用の型ごと支援します。

累計企画数112件、累計参加人数10,551名、顧客満足度94.9%、平均申込率52%(業界平均10〜15%)。マーケ担当1人で回らなくなったタイミングが、ちょうど良い相談時です。外注範囲の全体像はウェビナー運営代行とは?外注できる範囲・費用・失敗しない選び方をご覧ください。

よくある質問

SaaS企業はウェビナーを何に使うべきですか?

新規リード獲得だけでなく、検討段階のデモ、契約後のオンボーディング、活用促進、解約防止までファネル全体に使えます。サブスクモデルでは契約後の段階こそLTVを決めるため、既存顧客向けの定例開催を持つことを推奨します。

プロダクトデモはどう見せるのが効果的ですか?

機能を順に見せるツアー形式ではなく、1つのユースケースを業務の始点から終点まで通す形式が効果的です。デモ前に手作業の現状を、デモ後に所要時間の変化を数字で示すと、価値が記憶に残ります。

ウェビナー経由のリードは質が高いですか?

一般に、課題テーマのウェビナーに60分参加したリードは、広告クリックや資料DLより検討度が高い傾向があります。ただし証明にはCRMでのソース記録が必須です。参加経由の商談化率・転換率を他チャネルと比較してください。

毎月開催するネタが続きません。

新規向けは「顧客の課題×季節・制度」で四半期分をまとめて計画し、反応の良かったテーマは磨いて再演してください。既存向けはオンボーディング・アップデート・事例共有の3本柱が毎月自動的にネタになります。

トライアルと個別デモ、出口はどちらにすべきですか?

両方用意して参加者に選ばせるのが正解です。自走できる層はトライアルへ、検討が組織的な層(稟議・複数部署)は個別デモへ。アンケートで希望を分けて取り、フォローの速度と文面を変えてください。

運用のどこまで外注できますか?

テーマ計画、告知・申込管理、当日の配信・進行、アンケートとデータ整理、フォローメールまで外注できます。プロダクト知識が必要なデモと登壇は社内、運営の段取りは外部という分担が、SaaSでは最も機能します。

まとめ:SaaSのウェビナーは「獲得チャネル」ではなく「LTVエンジン」

SaaSビジネスとウェビナーの相性が良い本当の理由は、リードが取れるからではありません。認知から解約防止まで、顧客のライフサイクル全体に同じ仕組みで触れられるからです。ファネル5段階のどこに効かせる回かを決め、新規と既存の2系統で定例化し、CRMで貢献を計測する——この3つが揃えば、ウェビナーは「マーケの一施策」から「事業のLTVエンジン」に変わります。

まずは自社の開催履歴をファネル5段階に分類してみてください。①と②に偏っているなら、次の四半期に③(オンボーディング定例会)を1本足すことが、最も投資対効果の高い一手です。



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