新規事業のリサーチはAIエージェントでどう変わるか。レビュー158件を数分で読む市場調査の実際

新規事業のリサーチはAIエージェントでどう変わるか。レビュー158件を数分で読む市場調査の実際

2026年6月30日、私はデータ収集基盤を提供するBright Data社と共催で「AIエージェントで新規事業開発はどれだけ進化するか」というウェビナーを開催しました。登壇いただいたのは、AIエージェントを実務で使い込んでいるお二人。生成AI研修やAI導入支援を手がけるUravation株式会社代表の佐藤傑(すぐる)さんと、Netflix Japanなどを経て企業の事業開発・AI活用支援を行う株式会社Haru代表でBright Dataアンバサダーの尾形拓海さんです。私はモデレーターとして話を引き出す役だったのですが、正直に言うと、一番前のめりで聞いていたのは私だったと思います。

画面共有されたデモの中で、Amazonのスキンケア商品のレビュー158件が数分で収集され、不満の傾向、評価されているポイント、まだ満たされていないニーズの仮説までが一枚のレポートに並びました。人間がレビューを158件読んで、分類して、仮説まで書くと、どれだけ集中しても丸一日仕事です。それが、お茶を淹れて戻ってくる間に終わっていました。

この日を境に、私の中で確信に変わったことがあります。新規事業のリサーチは、もう「検索して、記事を読んで、まとめる」作業ではなくなった、ということです。AIエージェントに調べさせて、人間は問いを立てることと採用を決めることに集中する。この記事では、ウェビナーで実際に出た数字と、私がAI顧問として中小企業の現場に入って感じていることを合わせて、何がどう変わったのか、そして現場型の会社が何から始めればいいのかを書きます。


赤堀亘
執筆・監修 AiWiLL株式会社 代表取締役 赤堀亘

日本テレビ・Bitget等でのB2Bマーケティング実務を経て、2023年にSHIFT AI創業へ参画。コミュニティ・スクール責任者として2年で3万人規模へのグロースを主導。2026年、静岡県熱海市でAiWiLL株式会社を創業。生成AI顧問「WiLLAGENT」として、防災設備・不動産管理・旅館・飲食など現場型の中小企業に入り、売り上げ向上に寄与するマーケティングや営業施策をどうAIで質を上げ、数を増やすかを一緒に考え抜き、人手不足のなか報告書・見積・マニュアルづくりといった実務をいかにAIで省くかといった、AIを使った事業づくりを伴走支援している。生成AI研修・Eラーニングの監修も担当。企画したイベント・ウェビナーは累計112件、参加者は1万人超。

AIエージェント・新規事業リサーチ・マーケティングの実践セミナー3本の本編と、WiLLAGENTのサービス説明PDFを、無料の資料セットとして公開しています。→ 無料資料セットを受け取る

目次

新規事業のリサーチは、もう「検索」ではなくなった

まず言葉の整理からします。AIエージェントとは、指示を受けると自分で計画を立て、検索・データ取得・ファイル操作などのツールを使いながら、調査や作業を最後まで進めるAIのことです。チャット型のAIが「聞けば答える」のに対して、AIエージェントは「任せれば、調べて、まとめて、報告する」ところまで動きます。Claude CodeやCodexといった開発者向けツールが有名ですが、本質はツール名ではなく「AIが自分で手を動かす」という動作原理にあります。ツールの名前は2年後には変わっているかもしれませんが、この原理はもう戻りません。

新規事業のリサーチで何が変わるのか。工程ごとに並べると、こうなります。

リサーチの工程 これまで(人力) AIエージェント活用後
情報収集 検索して記事を読む。競合サイトを1つずつ眺める レビュー・SNS・検索結果・競合ページをエージェントがまとめて取得する
整理・分類 Excelやメモに手作業で転記する 不満・評価・傾向を自動で分類し、レポート化する
比較・分析 読んだ範囲の記憶で比較する 数百件単位のデータを同じ基準で横並びにする
仮説出し 会議でブレストする データの偏りから「満たされていないニーズ」の仮説を出させる
採用の判断 人間が決める 変わらず人間が決める

クライアント企業の事業開発を支援している尾形さんは、この変化を「試行回数が増えることに尽きる」と表現していました。以前は要件を固めて、エンジニアに発注して、数ヶ月かけて形にしてから顧客に当てていた。今はアイデアが出たらその日のうちに試作を作り、使いながら要件を固められる。定量的な調査はほぼ半自動で終わる。だから検証のサイクルが圧倒的に速く回り、結果として当たる確率が上がる。尾形さんはそう整理していました。

一方で、尾形さんはこうも言っていました。「どんな事業をやるべきかというWhatの部分は、AIでは変わらない」。この線引きがこの記事全体を貫く結論なので、先に覚えておいてください。以下、ウェビナーで出た実例を3つの型に分けて紹介します。

型その1:新規事業のタネは、会議室ではなく「反応データ」の中にある

佐藤さんは、AI研修事業を営みながら、自身がAIエージェントを毎日使い込んでいる人です。佐藤さんの会社のオウンドメディアは月およそ13万PVあり、サイト上には複数のホワイトペーパー(お役立ち資料)が置いてあります。佐藤さんはこのダウンロードデータを、AIエージェントに毎朝9時、定期実行で分析させています。

見ているのは「どの資料が何回落とされたか」ではありません。どの流入経路から来た人が、どんな属性で、どのテーマの資料に反応しているか。アクセス解析ツールのAPIと連携させて、この掛け合わせを毎日レポートさせる。そうすると「次にどの事業テーマの筋が良さそうか」が、データの側から浮かび上がってくるそうです。実際、佐藤さんの会社が今年立ち上げた2つの新規事業(ウェビナー事業と、マンツーマンの個別講座事業)は、どちらもこの反応データ分析がきっかけで生まれています。

ここで「うちには月13万PVのメディアなんてない」と思った方にこそ、伝えたいことがあります。私はAI顧問として、防災設備の点検会社や不動産管理会社のような、現場仕事が中心の中小企業に入っていますが、「データがない会社」にはまだ出会ったことがありません。問い合わせメール。商談の議事メモ。見積依頼の傾向。LINEでのやり取り。アンケートの自由記述。顧客の反応は、規模に関係なくすでに社内に落ちています。落ちているのに、誰も横串で読んでいないだけです。

新規事業というと、アイデア会議から始めるのが定番です。でも実際には、顧客が反応している小さなサインが先にあります。「なんとなく良さそう」から始めるのと、「このテーマにすでに反応が出ている」から始めるのとでは、初速も社内の説得しやすさもまるで違います。AIエージェントの最初の仕事は、外部の派手なデータ収集ではなく、この社内の反応データを毎週読ませることだと私は考えています。

型その2:レビュー158件を数分で読む。不満の中に未充足ニーズがある

ウェビナーのハイライトは、尾形さんによるライブデモでした。お題は「ヴィーガンスキンケアの新商品を作るとしたら」。Amazonから該当キーワードの商品を10件、1商品あたり最大20件のレビューを収集する設定で、実際に取得できたのは計158件。ここまでが数分です。そのままAIエージェントが分析まで進め、出てきたのが次のようなレポートでした。

レビュー158件をAIエージェントが収集し、不満・評価・未充足ニーズの3つに自動分類する流れの図解
分析の観点 実際に出てきた内容(2026-06-30ウェビナーのデモ実測)
収集規模 10商品・レビュー計158件(収集から分析まで数分)
不満の傾向(上位) 「効果が実感できない」「保湿力が物足りない」「香りが合わない」
評価されている点(上位) 「低刺激で敏感肌でも安心して使える」「ベタつかず肌なじみが良い」
未充足ニーズの仮説 「香りを選べる無香料設計」など、不満の裏返しから複数提示
全体所見 平均評価4.28。市場全体としては大きな不満が少ない可能性も示唆

私がこのデモで一番価値を感じたのは、実は「速さ」ではなく「読み方」の部分です。AIが出した未充足ニーズの仮説の中には、「低刺激なのに効果を実感できる商品」のような、当たり前すぎて使えないものも混ざっていました。尾形さん自身が「これは一般的すぎて使えないですね」と切り捨てながら進めていたのが印象的でした。AIは仮説を大量に出す係、人間は捨てる係。この分担が実務の姿です。また、平均4.28という数字から「そもそもこの市場には大きな不満が残っていないかもしれない」と読む。数字を集めることより、数字から降りる判断ができることのほうが、事業では重要です。

そしてこれは、D2CやEC事業者だけの話ではありません。顧客の本音が文字で残っている場所は、業種ごとに必ずあります。

業種 顧客の本音が残っている場所 読み取れること
旅館・宿泊 OTA(予約サイト)の口コミ 選ばれた理由・リピートしない理由・価格への納得感
飲食店 Google Mapのレビュー 来店動機・不満の集中点・競合店との比較のされ方
設備・点検・工事 問い合わせ時の質問・クレーム記録 顧客が不安に感じている工程・説明が足りていない箇所
研修・教育 受講者アンケートの自由記述 現場で使えた内容・期待と提供のズレ
BtoB全般 競合の導入事例・お客様の声ページ 競合が誰のどんな課題で選ばれているか

たとえば熱海で旅館を経営している方なら、自館と競合5館の直近の口コミをAIエージェントに読ませて、「うちだけに書かれている不満」「競合だけが褒められている点」を出させる。これだけで、次に打つ改善やプランづくりの精度が変わります。レビューを読む行為自体は昔からできました。変わったのは、100件を超える量を、同じ基準で、定期的に読み続けられるようになったことです。

型その3:SNSは宣伝の場である前に、顧客理解のデータである

デモはもう1本ありました。今度はTikTokです。「敏感肌スキンケア」などのハッシュタグで上位投稿を収集し、何が伸びているのかを分析させる。出てきたのは「上位30件中7件が、敏感肌でも安心して使えるという同じ切り口の訴求をしている」「冒頭1秒のつかみにはこういうパターンがある」「伸びている投稿のフォーマットにはこの傾向がある」という、勝ちパターンの構造分解でした。

これまでSNSの分析は「なんとなくバズっている投稿を眺めて、感覚で真似る」ものでした。それが「この領域では、この切り口とこの構成が伸びている」と構造で言えるようになる。広告やSNS運用の話に聞こえるかもしれませんが、私はむしろ商品づくりの話だと受け取りました。顧客がどんな言葉に反応し、コメント欄にどんな悩みを書き、何を保存しているか。SNSは宣伝媒体である前に、顧客理解のデータソースです。

佐藤さんは、さらに一歩先の使い方をしていました。佐藤さんいわく、Xや大手ニュースサイトは誰でも取れる情報で、しかも建前の発信が多い。生の声が残っているのはInstagramとTikTok、そして海外のニッチなソースだと。彼は中国のWeChatのSNS面や、海外の有料ニュースレターを情報源にして、動画はテキストに変換し、情報源ごとにサブエージェントを割り当てて並列で読ませ、毎朝レポートをSlackに届けさせています。本人は中国語をほとんど読めません。それでも、日本にまだ入ってきていない情報を毎日取れている。「他の人が取れていない情報を取れることが、そのまま事業の差別化になる」という佐藤さんの言葉は、リサーチという地味な工程の価値を言い当てていると思います。

型その4:テストマーケも「反応データから絞る」へ

リサーチで仮説ができたら、次は小さく当てる番です。ここでもウェビナーで具体的な話が出ました。

1つ目は、あるスタートアップの例。Xで動画編集AIのサービス告知をしたところ、約600件の事前登録リストが集まりました。この時点でプロダクトはほぼ形になっていません。集まった600件をAIエージェントに分析させて、どの機能を優先すべきか、逆にどの機能を削るべきか、セキュリティ設計をどうするかの示唆を出させ、さらに確度が高そうな登録者を特定して、個別に30分のミーティングを打診したそうです。600件のリストを人力で読んで優先順位をつける作業を想像すると、これがどれだけ現実的な話になったかが分かります。

2つ目は、佐藤さんが自社サイトでやっている需要検証です。佐藤さんは会社の公式サイトのサービスページに、自社に合う補助金制度を調べられるものと、商談前のリサーチを5体構成のエージェントチームがやってくれるものという、2つの小さなAIエージェントアプリを埋め込んでいます。そしてその利用ログをアクセス解析のAPI経由でAIに分析させ、どんな属性の会社がどちらをよく使うかを見る。「エンタープライズにはこの需要がある」「スタートアップには個別指導のほうが刺さりそうだ」という判断材料が、営業をかける前に手に入っているわけです。プロダクトを完成させてから需要を聞くのではなく、needsの出口を先に小さく置いて、反応から絞り込む。資料ダウンロードのリードにAIでスコアリングをかける、という運用も同じ発想です。

現場型の中小企業が、明日から始める4ステップ

ここまでの実例は、AIを使い込んでいる専門家たちのものです。では、紙とExcelと電話で回っている現場型の会社には関係ない話かというと、まったく逆だと私は思っています。私の顧問先は防災設備の点検会社不動産管理会社のような会社ですが、リサーチの原理は同じです。そして私の顧問先の業界では、ここまでやっている会社をまだ見かけません。誰もやっていない領域だからこそ、先にやった会社の差が大きく出ます。順番はこうです。

社内データの棚卸しから週次のAI分析定例まで、中小企業がAIリサーチを始める4ステップの道筋の図解
  1. 社内の反応データを棚卸しする。問い合わせメール、商談メモ、見積依頼、クレーム記録、アンケート。「うちにはデータがない」と思っている会社ほど、読まれていないデータが溜まっています。まず何がどこにあるかを一覧にします。
  2. 顧客の本音が残っている「外の場所」を1つだけ決める。Google Mapの口コミ、OTAのレビュー、競合の導入事例。欲張らず1つに絞ります。上の業種別の表から選んでください。
  3. 問いを1つに絞る。「顧客は何に不満で離れているのか」「競合はどんな理由で選ばれているのか」。問いが曖昧なままAIに投げると、曖昧な答えが返ってきます。ウェビナー登壇者の全員が、性能の話よりも問いの立て方の話をしていたのが象徴的でした。
  4. 週1回、AIエージェントに読ませて、人間は採用と却下だけ決める。毎朝9時の全自動までいかなくても、週1回の定例で十分に景色が変わります。出てきた仮説を「やる・やらない・保留」に振り分けるのが経営者の仕事です。

やってはいけないのは、ツール選定から始めることです。「どのAIツールがいいですか」という質問を私は本当によく受けますが、データと問いが決まっていない状態でツールを選んでも、契約して満足して終わります。データが先、問いが先、ツールは最後。この順番だけ守れば、最初の一歩は今週中に踏めます。

外部データの収集(スクレイピング)には、押さえておくべき線引きがあります。ウェビナーでも質問が出て、尾形さんが実務家の目線で整理してくれました。要点は次のとおりです。

  • ログインが不要な公開情報を取得すること自体は、基本的に問題ないとされる
  • ログイン認証を突破してその先の情報を取るのはNG
  • 相手のサーバーに過剰な負荷をかける取得の仕方はNG
  • 取得したコンテンツを著作物として再編集・再配布するのはNG。社内の分析利用に留める
  • 各サービスの利用規約がスクレイピングを禁止している場合がある。規約違反が即違法というわけではないが、そこは利用者の判断と責任になる
  • 個人情報を含むデータの扱いは、通常の個人情報保護のルールに従う

これはウェビナーで共有された一般的な整理であって、個別のケースの適法性は事業内容や取得方法によって変わります。本格的に外部データを事業に組み込むなら、法務や専門家への確認を挟んでください。「取れるか」ではなく「使っていいか、使う意味があるか」で判断する。この姿勢が長く使い続けるための条件です。

コストの話も添えておきます。デモで使われたBright Dataのようなデータ収集基盤では、たとえばXの投稿データが1,000レコードあたりおよそ1.5ドルという水準の従量課金で取得できるそうです(2026年6月時点・尾形さんの実測談)。各SNSの公式APIの利用料と比べて安く済むケースがあるうえ、設定画面のスクリーンショットをAIエージェントに渡して「これを使って取ってきて」と頼めば、専門知識がなくても組めてしまう。技術の壁とコストの壁が同時に下がったことが、この分野で今起きていることの正体です。

AIが調べても、事業を決めるのは人間

最後に、ウェビナーを通して一番深く残った話を書きます。尾形さんは、リサーチを定量と定性に分けたうえで、こう言い切りました。定量調査はAIエージェントと相性が抜群にいい。しかし、コンセプトをターゲット顧客にぶつけて、話を聞いて、深掘りして、インサイトを引き出す定性調査のコアな部分は、AIには置き換えられない、と。

私もAI顧問の現場でまったく同じ実感を持っています。AIが158件のレビューを数分で読む時代に、経営者の仕事がなくなるかというと、逆です。AIが仮説を10個出してくるようになると、「これは自社でやる意味があるか」「うちの現場で続けられるか」「売り方まで見えるか」を決める時間こそが、経営者にしかできない仕事として残ります。調べる時間が10分の1になった分、決める時間の質が問われるようになった。リサーチの自動化とは、突き詰めると意思決定の高速化です。

だから、AIエージェント時代の新規事業開発で経営者がやるべきことは、ツールを全部覚えることではありません。自社のどの判断にAIを使うのかを決めること。どの情報を見に行くべきかを決めること。そして最後に、何を採用するかを決めること。この3つです。

よくある質問

AIエージェントは、ChatGPTのようなチャット型AIと何が違うのですか?

チャット型AIは質問に答えるまでが仕事ですが、AIエージェントは指示を受けると自分で計画を立て、データ取得や分析などのツールを操作しながら作業を完遂します。市場調査でいえば、チャット型は「聞いたことに知識で答える」、エージェントは「実際にレビューやSNSのデータを取りに行って、分析レポートまで作る」という違いです。

市場調査にAIエージェントを使うと、費用はどのくらいかかりますか?

構成によりますが、AIエージェントツールの利用料(月数千円〜数万円程度のプランが中心)に、外部データ取得の従量費用が加わる形が一般的です。データ取得は、たとえばXの投稿1,000レコードでおよそ1.5ドルという水準の例がウェビナーで共有されました(2026年6月時点・尾形さん談)。この水準から見る限り、調査会社に外注する市場調査と比べて大幅に小さい予算で、しかも何度でも反復できるのが特徴です。

プログラミングができない会社でも使えますか?

使えます。ウェビナーのデモでも、データ収集ツールの設定画面のスクリーンショットをAIエージェントに渡して「この内容で設定して」と頼む方法が紹介されていました。専門知識の壁は確実に下がっています。ただし、最初の一歩は外部データではなく、問い合わせや商談メモといった社内の反応データをAIに読ませることから始めるほうが、つまずきが少ないというのが私の現場での実感です。

レビューや口コミは、何件くらい集めれば意味がありますか?

ウェビナーのデモでは158件で不満の傾向と未充足ニーズの仮説が明確に出ました。経験則として、人力で読み切れない100件を超えたあたりからAIエージェントを使う価値がはっきり出ます。まずは自社と競合の直近レビュー100件程度を対象に、「不満の傾向」「評価されている点」「まだ満たされていないニーズ」の3点を出させるのが定番の型です。

スクレイピングは法律的に問題ないのですか?

ログイン不要の公開情報を、サーバーに負荷をかけない方法で取得し、社内の分析に使う範囲であれば、基本的に問題ないと整理されています。一方で、認証の突破、著作物としての再配布、規約で明確に禁止された用途などはリスクがあります。事業として本格的に組み込む場合は、法務・専門家の確認を挟んでください。

新規事業のアイデア出しそのものをAIに任せられますか?

仮説を出させることはできますが、採用の判断は人間の仕事として残ります。ウェビナーでも「AIの出す仮説には一般的すぎて使えないものが混ざる」「どの課題を捉えるかというWhatはAIでは変わらない」という指摘が登壇者から繰り返し出ました。AIは選択肢を増やし、人間が捨てて決める。この分担で考えるのが現実的です。

まとめ:調べる時間が消えた分、問いと判断に投資する

  • 新規事業のリサーチは「検索して読む」から「AIエージェントに調べさせ、人間が判断する」へ変わった
  • レビュー158件の収集・分析が数分で終わる。人力で読み切れない量を、同じ基準で定期的に読めるようになった
  • 新規事業のタネは会議室ではなく反応データの中にある。資料DL・問い合わせ・商談メモは規模に関係なくどの会社にもある
  • 顧客の本音が残っている場所は業種ごとに違う。旅館ならOTA口コミ、飲食ならGoogle Map、BtoBなら競合の導入事例
  • SNSは宣伝の場である前に顧客理解のデータ。勝ちパターンは感覚ではなく構造で分解できる
  • テストマーケは「完成させてから聞く」のではなく「反応から絞る」。600件のリスト分析も現実的になった
  • 外部データは「取れるか」ではなく「使っていいか」で判断する。規約・負荷・再配布の線引きを守る
  • 始める順番はデータ→問い→ツール。ツール選定から始めた取り組みはほぼ止まる
  • 定性調査とWhatの判断は人間に残る。AIは選択肢を増やす係、人間は捨てて決める係

ウェビナーを主催した私自身、翌朝から動き方を1つ変えました。自社サイトの資料ダウンロードの通知と検索レポートをAIエージェント(私の場合は普段から業務に使っているClaude Code)に渡して、「どの経路から来た人が、どのテーマに反応しているか」を週次で読ませる定例を組んだのです。仕組みと言えるほどのものではなく、既存のデータを渡して問いを固定しただけなので、かかった時間は30分ほどでした。まだ人に語れるほどの蓄積はないので、数字が貯まったら、この記事とは別に現場の記事として書きます。

もし自社にも、問い合わせや口コミ、資料ダウンロードのような反応データが眠っている、あるいは外部データをどう見に行けばいいか分からない、という状態であれば、AI顧問(WiLLAGENT)として一緒に整理するところから始められます。そして、この記事で紹介したウェビナーの本編映像は、「新規事業リサーチをAIエージェントで高速化」として無料の資料セットで受け取れます。レビュー158件の分析やTikTokの勝ちパターン分解を、文字ではなく実際のデモ画面で確認できます。セットには、ほか2本の実践セミナー本編と、WiLLAGENTのサービス説明PDFも含まれています。

「自社なら何から始めるべきか」を見つけたい方へ

AI顧問「WiLLAGENT」は、AIを「知る」で終わらせず、会社の仕事で使える状態まで一緒に動かす伴走型AI顧問です。現場に行き、一緒に作り、社内に残す。経営・営業・マーケティング・業務改善まで、現場の課題から優先順位を決めて進めます。

実務での使いどころを学べるAI実践セミナー3本の本編アーカイブと、3か月伴走の内容・支援領域・料金・FAQをまとめたサービス説明PDFを、無料の資料セットとして受け取れます。

執筆:赤堀亘(AiWiLL株式会社 代表取締役。AI顧問・生成AI研修。イベント/ウェビナー累計企画112件・累計参加者10,551名。本記事は2026年6月30日開催のBright Data社共催ウェビナー「AIエージェントで新規事業開発はどれだけ進化するか」の内容と、自身のAI顧問現場の実務経験をもとに執筆)

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次