マネーフォワード クラウド請求書は外貨に対応していなかった|米ドル建て請求書をHTMLからPDFで起こした記録

9月1日に、海外のデータ企業と共催したイベントの運営費について、先方から「会計処理の都合で日本円ではなく米ドル建てで請求書を出してほしい」という依頼が来た。見積は円建てで合意していて、金額そのものは変わらない。通貨の表記を変えるだけである。翌9月2日に、いつも使っているマネーフォワード クラウド請求書で作ろうとして、作れなかった。この記事はその日の記録である。

先に結論を書いておくと、マネーフォワード クラウド請求書は外貨に対応していない。日本円しか扱えない。なのでその日はMFを使わず、HTMLを書いて Edge のヘッドレスでPDFに落として送った。

赤堀亘
執筆・監修 AiWiLL株式会社 代表取締役 赤堀亘

日本テレビ・Bitget等でのB2Bマーケティング実務を経て、2023年にSHIFT AI創業へ参画。コミュニティ・スクール責任者として2年で3万人規模へのグロースを主導。2026年、静岡県熱海市でAiWiLL株式会社を創業。生成AI顧問「WiLLAGENT」として、防災設備・不動産管理・旅館・飲食など現場型の中小企業に入り、売り上げ向上に寄与するマーケティングや営業施策をどうAIで質を上げ、数を増やすかを一緒に考え抜き、人手不足のなか報告書・見積・マニュアルづくりといった実務をいかにAIで省くかといった、AIを使った事業づくりを伴走支援している。生成AI研修・Eラーニングの監修も担当。企画したイベント・ウェビナーは累計112件、参加者は1万人超。

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目次

MFで外貨が選べないことをどう確かめたか

私はまず、いつもの手順どおり直近の請求書を複製して通貨だけ変えようとした。通貨の項目がない。設定にもない。そこで公式のFAQを引いた。

https://biz.moneyforward.com/support/receivable/faq/form/f025.html
→ 外貨(ドル・ユーロ等)での請求書作成には対応していない。日本円のみ

探し方が悪いのではなく、機能として無い。ここで15分ほど使った。先に「請求書 外貨」でFAQを引いていれば1分で済んだ。

やめてHTMLで書いた

MFの請求書テンプレートに寄せたレイアウトをHTMLとCSSで一枚書いた。A4一枚、上に宛名と自社情報、中央に合計額の枠、品目表、右下に小計・消費税・合計、左下に支払方法と備考、最下段に注記。CSSは @page { size: A4; } で用紙を指定し、print-color-adjust: exact で背景色が印刷時に飛ばないようにしている。

米ドル建てにするときに決めたこと。

  • すべての金額を米ドルで書き、同じ紙の中に円建ての原貨金額と適用レートを併記する。先方の会計はドルで処理するが、こちらの帳簿は円なので、どちらの側から見ても一枚で完結させたかった
  • 適用レートは1 USD = 160.00 JPY。最初は当日の為替で小数点以下まで計算して出したが、本人(赤堀)の判断で切りのよいレートに丸めた。相手の経理担当が見て説明しやすい数字を優先した。レートの適用日も紙に書いた
  • 消費税10%は米ドルでも別行で立てる。国内で提供した役務なので課税取引で、表記通貨が変わるだけ
  • 当社は適格請求書発行事業者の登録をしていない。登録番号の欄は作らず、その旨を日本語と英語で最下段に書いた

最下段の文言はこれ。

AiWiLL株式会社は適格請求書発行事業者の登録を行っておりません。
AiWiLL Inc. is not registered as a qualified invoice issuer under the Japanese consumption tax invoice system.

品目名・支払方法・備考も日英併記にした。英語は薄いグレーで日本語の下に置く。翻訳の正確さよりも、先方の経理担当が「何の請求か」「いつまでに」「どう払うか」を英語だけ読んでも追える状態を優先した。

HTMLからPDFにするコマンド

PDF化はインストール済みの Microsoft Edge をヘッドレスで叩いた。追加のライブラリは入れていない。

"/c/Program Files (x86)/Microsoft/Edge/Application/msedge.exe" --headless=new --disable-gpu --no-pdf-header-footer --print-to-pdf="C:/.../invoice.pdf" "file:///C:/.../invoice.html"

--no-pdf-header-footer を付けないと、ブラウザの印刷と同じで上下にURLと日付が刷り込まれる。請求書にはいらない。

できたPDFの確認は、画像で目視する前にテキストで見た。ページ数は改ページ文字を数えれば分かる。

pdftotext -layout invoice.pdf chk.txt && echo "=== pages: $(grep -c $'\f' chk.txt) ===" && cat chk.txt

最初の出力は pages: 2 だった。備考の数行が2ページ目にはみ出していた。直したのは余白とフォントで、値はこれ。

@page { size: A4; margin: 12mm 14mm 10mm; }  →  @page { size: A4; margin: 10mm 14mm 8mm; }
body font-size: 10.5pt                        →  10pt
h1 font-size: 22pt                            →  20pt
table.items td padding: 3mm                   →  2.5mm 3mm

これで pages: 1 になった。見た目は同じヘッドレスで --screenshot="shot.png" --window-size=688,1000 --force-device-scale-factor=2 を付けてPNGを出し、崩れていないことを確認してから送った。

気づいたら二重になっていた

送ったあとで、自社の売上管理のためにMFへ円建てで同じ内容を登録しておこうとして、MFのAPIで請求書一覧を引いた。

curl -s -H "Authorization: Bearer $TOKEN" -H "accept: application/json" "https://invoice.moneyforward.com/api/v3/billings/<id>"

すると前日9月1日の午前に、円建ての請求書がすでに作られていた。9月1日は月初の請求をまとめて発行した日で、その中にこの案件も入っていた。未送信のまま残っていたので、二重登録はしなかった。

ただし一つズレがある。MF側の円建て請求書は支払期日が10月30日、先方へ送った米ドル建ての正本は10月31日。作った日が違い、月末の扱いを別々に決めたせいで1日違う。入金の消し込みで困る差ではないのでそのままにした。揃えるなら未送信のMF側を削除して作り直すことになる(番号は次の番号に変わる)。

まだ決めていないこと

  • 外貨建ての請求が今後も続くなら、HTMLの請求書テンプレートを自社の正式な帳票にするか、外貨対応の請求書サービスを別に契約するか。今回は1件なのでHTMLで済ませた
  • 為替差損益の処理。入金時のレートが160円とずれた分をどの科目に落とすかは、税理士を決めてから相談する。まだ試していない
  • MF側の円建て請求書と正本の支払期日のズレを直すかどうか

外貨に対応していないことは、たぶんMFを使っている人の多くが知らない。私も国内の顧客しか請求したことがなかったので、この日まで知らなかった。

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