工程表とシフト表をAIに作らせる|Excelのマクロを覚えなくても、数式だけで組み替わる表になる

工程表をExcelで毎回ゼロから作り直している会社は、多いです。シフト表も同じです。前回のファイルを複製し、日付を打ち替え、行を足し、色を塗り直す。半日かけて配ったその翌週、1本の工事が3日ずれます。ここからが本番です。後ろの工程が全部ずれ、色を塗り直し、印刷して配り直す。誰も悪くないのに、また半日が消えます。

先に結論を置きます。工程表とシフト表をAIに作らせる価値は、作る時間の短縮ではありません。直せる形で作ることです。1本ずれたら1か所直せば後ろが動く。人が1人減ったら条件を1行変えれば組み直る。この「直せる形」を決めずに頼むと、見た目のきれいな1枚が出てきて、翌週にはまた手で作り直すことになります。

この記事に書くのは、表そのものの作り方ではありません。頼む前に書く「前提」の埋め方、マクロに逃げずに数式で作らせる理由、人が検算する場所、そしてシナリオを差し替えて作り直す使い方です。金額を扱う話は見積書AIの記事に譲り、ここは日付と人と並び順に絞ります。


赤堀亘
執筆・監修 AiWiLL株式会社 代表取締役 赤堀亘

日本テレビ・Bitget等でのB2Bマーケティング実務を経て、2023年にSHIFT AI創業へ参画。コミュニティ・スクール責任者として2年で3万人規模へのグロースを主導。2026年、静岡県熱海市でAiWiLL株式会社を創業。生成AI顧問「WiLLAGENT」として、防災設備・不動産管理・旅館・飲食など現場型の中小企業に入り、売り上げ向上に寄与するマーケティングや営業施策をどうAIで質を上げ、数を増やすかを一緒に考え抜き、人手不足のなか報告書・見積・マニュアルづくりといった実務をいかにAIで省くかといった、AIを使った事業づくりを伴走支援している。生成AI研修・Eラーニングの監修も担当。企画したイベント・ウェビナーは累計112件、参加者は1万人超。

AIエージェント・新規事業リサーチ・マーケティングの実践セミナー3本の本編と、WiLLAGENTのサービス説明PDFを、無料の資料セットとして公開しています。→ 無料資料セットを受け取る

目次

工程表がつらいのは、作るときではなく直すとき

Excelの工程表を自動化したい、という相談を、私は現場で何度も受けてきました。ほぼ全員が同じことを言います。作るのは、まあいい。つらいのは直すときだ、と。

理由は単純です。手で作ったExcelの工程表は、ほとんどの場合、日付が「文字」として打ち込まれています。8月5日から8月9日まで、というセルの塗りは、8月5日という数値と紐づいていません。人の頭の中でだけ紐づいています。だから1本ずれると、後ろの全部を人の頭で計算し直すことになります。10行なら耐えられます。100行になると、誰も全部は追えません。

シフト表も構造は同じです。誰が何曜日に入るかを、人の記憶と気遣いで埋めている。1人が急に休むと、代わりを埋めた瞬間に別の日の連勤が発生します。埋めた本人はそれに気づかず、あとから当人に指摘されます。表は完成しているのに、条件は守られていない。この状態が一番怖い。

私が生成AI顧問として関わってきたのは、累計で約15社、研修や講座を含めると30社を超えます。業種は建設・設備、旅館、製造、不動産、飲食とばらけていますが、工程表・シフト表まわりの詰まり方は驚くほど似ています。整理すると4つです。

  • ずれが伝播しない。1本遅れても、後ろが自動で動かない。人の頭で再計算している。
  • 条件が表の外にある。「日曜は休み」「この作業のあとでないと着手できない」が、作った人の頭の中にしかない。
  • 作れる人が1人しかいない。複雑になるほど、その人以外が触れなくなる。休まれると止まる。
  • やり直しが怖い。前倒し案・遅延案を並べて比べたいのに、1枚しかないので比べられない。

この4つは、AIを足しただけでは消えません。速く1枚が出てくるだけです。速く出てきたきれいな1枚は、遅く出てきたきれいな1枚と、直すときの苦しさが同じです。工程表AIの成否は、出力の見栄えではなく、表の中に条件が入っているかどうかで決まります。

観点 手で作った工程表 直せる形の工程表
日付の持ち方 セルの塗りと文字 開始日・日数・依存関係を列で持つ
1本ずれたとき 後ろを人が塗り直す 1か所直せば後ろが動く
休みの扱い 作った人の頭の中 休日リストと営業日計算で表に入っている
担当の重複 目視で気づく 数式が重複を数えて色が変わる
別案の比較 作り直しになるので、しない 前提を1行変えて、もう1枚出す
作れる人 1人 読める人なら直せる
1年後 誰も触れない旧版が増える 同じ型で、今期の表が出てくる

右の列を作るのに、マクロもプログラミングも要りません。必要なのは、条件を言葉にして先に渡すことです。ここがこの記事の本題になります。

頼む順番——表より先に「前提」を数行で書く

AIに工程表やシフト表を頼むとき、多くの人は表のイメージから話し始めます。「横に週を並べて、縦にタスクを並べて、バーで表現して」。これで出てくる表は、見た目は正しく、中身は使えません。休みの扱いも、並び順の基準も、誰が見る表なのかも入っていないからです。

私が顧問先に渡している順番は逆です。表の形の前に、前提を数行書く。これはAiWiLLの基本原則である「コンテキスト>>>プロンプト」を、表計算に落としたものです。AIは賢い新入社員です。頭は良い。ただし、あなたの会社の休みも、着工の順番も、誰が読む表なのかも知りません。上手な頼み方を探すより、知らないことを先に渡すほうが、はるかに速く精度が上がります。この考え方の全体像は精度を上げる4ステップの記事に書きました。

工程表・シフト表で先に書くべき前提は、次の6つです。これ以上細かくすると書かれなくなり、これ以下だと表が使えなくなる。私が現場で削り込んだ最小セットです。

前提の項目 書くこと 抜けたときに起きること
1. 期間 いつからいつまで。何週・何か月か 表の横幅が毎回変わり、比較できない
2. 単位 1マスが1日か、半日か、1週か 細かすぎて印刷できない表が出てくる
3. 休みの扱い 週休、祝日、会社の一斉休業、雨天順延の考え方 日曜に工程が乗る。連勤が発生する
4. 並び順 工区順か、着手日順か、担当者順か 読む人が毎回探す。現場で使われない
5. 読む人 現場の職長か、元請けか、社内会議か 情報量が合わず、結局作り直す
6. 確定と仮 どこまでが決定で、どこからが仮置きか 仮の日付が確定として一人歩きする

6項目のうち、現場で一番よく抜けるのは3の「休みの扱い」と6の「確定と仮」です。休みは会社ごとに違いすぎて、書くのが面倒だから抜ける。確定と仮は、書いた本人の頭では区別がついているから抜ける。そして、この2つが抜けた表が、あとで一番もめます。

自社でも同じことをしています。AiWiLLでは、資料や図解のデザインの決めごとを1枚のファイルにまとめ、作るたびに毎回AIへ読ませています。色や余白の話ではなく「何を大きくするか」の基準です。これを置いてから、誰が作っても資料のトーンが揃うようになりました。前提を1枚のファイルにして毎回読ませる、というやり方は、デザインでも工程表でも同じように効きます。(出所:自社のデザイン規約1枚運用)

頼む順番——前提が先、表はあと

① 前提を6行書く 期間/単位/休み/並び順/読む人/確定と仮
② 材料を渡す 作業一覧、所要日数、担当、前後関係。前回の表があればそれも
③ 数式で組むよう指定する マクロや自動化スクリプトを使わない、と先に言う
④ 検算する場所を先に決める どの列を人が見るかを、作らせる前に宣言する
⑤ 出てきた表を検算し、前提のほうを直す 表を手で直して終わらせない

出所:AiWiLLが顧問先の初回セッションで使っている進め方

⑤が肝です。出てきた表がおかしかったとき、多くの人は表のセルを手で直します。それをやると、次に作り直したときも同じ間違いが出てきます。直すのは表ではなく、前提の行です。1回の直しをどこに置くかで、再発するかどうかが決まります。この考え方は、AI全般の運用でも同じです。

マクロに逃げない——数式で作らせる3つの理由

「ChatGPT ガントチャート」で調べると、マクロやスクリプトを書かせる手順がよく出てきます。動きます。動くのですが、私は中小企業の現場では、まず数式だけで作ることを勧めています。理由は3つです。

  1. 渡した相手が中身を読める。数式は、セルをクリックすれば何をしているか見えます。マクロは、開いて読める人がほぼいません。読めない仕組みは、作った人の属人化をもう一段深くします。
  2. 壊れても直せる。数式なら、間違っている1セルを見つけて直せます。マクロは、どこで止まったかを調べる作業から始まります。現場に「調べる人」はいません。
  3. 環境に縛られない。マクロを含むファイルは、共有の仕方やセキュリティ設定で開けなくなることがあります。クラウドの表計算やタブレットでも開けない場合がある。数式だけの表は、そこを越えていきます。

3つ目は、現場ほど効きます。事務所のパソコンでしか開けない工程表は、現場の人にとって存在しないのと同じです。建設・設備の顧問先を見ていて、私が何度も思ったことです。仕組みが立派でも、現場のスマホで開かないなら使われません。この論点は建設・設備業のAI活用記事にも通じます。

観点 数式だけで作る マクロ・スクリプトで作る
他人が中身を読めるか
壊れたとき現場で直せるか ×
環境を選ばず開けるか
複雑な自動処理
作った人が辞めたあと ○ 読める人が引き継げる × 触れる人がいなくなる
最初に作る手間 ◎ 一度組めば速い
中小企業の第一手として △ 数式で回してから検討

マクロを否定しているのではありません。順番の話です。数式で回り始めてから、どうしても手が足りない一点だけを自動化する。最初から自動化すると、その表は誰も触れない箱になります。属人化解消の記事で書いたとおり、属人化は人の問題ではなく、読めない仕組みから生まれます。

使う関数も、難しいものは要りません。営業日を数える関数、条件に合う件数を数える関数、条件に合う数値を足す関数、日付が範囲に入っているかを判定する関数。この4種類で、工程表とシフト表のほとんどは組めます。関数名は表計算ソフトによって多少違いますし、名前は将来変わるかもしれません。変わらないのは、「営業日で数える」「重複を数える」「範囲に入っているか判定する」という考え方のほうです。AIに頼むときも、関数名ではなく、この考え方で伝えると外しません。

頼み方の一行を、平文で置きます。魔法の呪文ではありません。前提のあとに、これを付けるだけです。

マクロ・スクリプト・アドインは使わないでください。
表計算の数式だけで組み、どのセルに何の数式を入れるかを一覧にしてください。
使った関数それぞれについて、何をしている数式かを日本語で1行ずつ説明してください。

最後の1行が効きます。説明を書かせると、こちらが読めるだけでなく、AI自身の組み立ての粗が表に出ます。説明できない数式は、たいてい間違っています。

1枚の正解表を作らない。シナリオを差し替えて作り直す

工程表の本当の価値は、完成した1枚ではありません。比べられることです。前倒しできたらどうなるか。3日遅れたらどうなるか。人が1人減ったらどうなるか。この3枚を並べて初めて、経営の判断ができます。

手作業でこの3枚を作る会社は、ほとんどありません。1枚作るのに半日かかるからです。ここが、AIに作らせる最大の見返りです。私はROIを「時間がいくら減ったか」より「打てる手が何個増えたか」で見ています。工程表はその典型で、比較案を出せるようになった瞬間、会議の質が変わります。「間に合いません」が「この条件なら間に合います」に変わるからです。

シナリオ 変える前提の行 見るところ
基準案 最終日、山場の週、担当の重なり
前倒し案 着手日を◯日早める/並行できる作業を指定 並行させた週の人手が足りているか
遅延案 特定の作業の所要日数を+◯日 後ろの何本が動くか、最終日が何日ずれるか
人員1人減案 担当者リストから1名外す 1人あたりの連続日数、あふれた作業
繁忙期案 需要の高い期間を指定し、必要人数を増やす 休みが取れない人が出ていないか
資材待ち案 特定作業の着手可能日を後ろにずらす 待ちの間に前へ倒せる作業があるか

大事なのは、シナリオごとに表を作り直さないことです。前提の行を1つ変えて、同じ材料でもう一度組ませる。だから前提を別ファイルか、表の上部の「条件欄」に置いておきます。条件欄の値を変えれば数式が動く形にしておけば、AIを呼ぶまでもなく現場で切り替わります。

これが、この記事のタイトルに置いた「作り直せる型」です。1つの正解表を守ろうとすると、変更のたびに人が痛みます。作り直せる型を持つと、変更が情報になります。工程表は、守る資料ではなく、回す資料です。

自社でも、似た発想で回している仕組みがあります。イベントの申込状況を毎朝自動で集計し、日次の推移と流入元を1つの表に更新させています。人が見るのは、出てきた結果の表だけです。作る作業を人がやらなくなると、人は判断のほうに時間を使えます。工程表も同じで、組む作業から人が降りると、「この案とこの案、どちらでいくか」に時間が回ります。(出所:自社のイベント申込レポート自動化)

中小の現場で効く場面——工程、シフト、生産計画

抽象のままだと動けないので、効く場面を業種で置きます。私が顧問先で見てきた範囲の一般化です。個別の社名や数値は出しません。

場面 一番の痛点 前提で必ず書くこと 効き目
建設・設備の工程表 1本ずれると後ろが全部ずれる 作業の前後関係、雨天順延、検査日の固定
旅館の繁忙期シフト 連勤と希望休が両立しない 1人あたり連続勤務の上限、必要人数、希望休
製造の生産計画 設備の空きと納期が頭の中にしかない 設備ごとの稼働可能日、段取り替えの時間
点検・保守の年間計画 法定期日と現場都合の折り合い 期日の固定条件、前倒し可否
店舗の販促カレンダー 準備日数が毎回読めない 逆算の起点日、準備に必要な営業日数
採用・研修の年間計画 担当者の予定と重なる 担当者の稼働日、繰り返しの周期

建設・設備の工程表は、前後関係を言葉にできるかで勝負が決まります。「この作業が終わらないと着手できない」を1本ずつ書き出す作業は、正直しんどい。ただし一度書けば、次の現場でも8割は使い回せます。書き出す作業自体をAIに手伝わせることもできます。過去の工程表を渡して、「この表から、作業の前後関係を推定して一覧にしてください。推定した箇所には推定と書いてください」と頼む。人がやるのは、その一覧に丸をつけることです。ゼロから書くより、はるかに早い。

旅館の繁忙期シフトは、条件の数が多いのが特徴です。私がシフト表について受ける相談も、この場面が一番多い。連続勤務の上限、早番と遅番の間隔、資格や経験が要る持ち場、希望休。人の頭で全部を同時に満たすのは無理があります。だから毎回、埋めた人が一番損をする。条件を表に入れておくと、違反した瞬間にセルが色を変えます。AIに完璧なシフトを作らせるのではなく、違反を人に見せる表を作らせる。これが現実的な着地点です。旅館業全体のAIの効かせどころは旅館・宿泊業の記事にまとめてあります。

繁忙期そのものには、新しいことを始めないでください。お盆と年末年始に仕組みを変えるのは無理です。作るのは閑散期。試すのも閑散期。繁忙期は、できあがった表を使うだけにする。ここを外すと、どんなに良い型でも定着しません。

AIが間違えるのはここ——検算する場所を先に決める

AIが作った工程表は、ぱっと見が整っています。整っているから、人は疑いません。ここが事故の入口です。私の見てきた範囲で、間違いが集中するのは次の6か所でした。

間違えるところ 起きること 人がやる検算
営業日の計算 土日をまたいで日数を数えてしまう 週をまたぐ作業を2〜3本、指で数えて突き合わせる
日数の数え方 「所要3日」を開始日込みで数えるか翌日から数えるかがブレて、全体が1日ずつ後ろへずれる 所要3日の作業を1本選び、開始日と終了日が前提で決めた数え方どおりか確認する
祝日 祝日リストを持っていない/古い年の祝日で計算する 祝日の一覧を自分で渡したか確認する
端数・半日 0.5日の作業を1日に丸める/逆に切り捨てる 合計日数を電卓で1回だけ検算する
引き継ぎ条件 「前の作業の翌日から」を「同日から」にする 前後関係のある2本を、境目だけ目で見る
月またぎ 月末で列が切れる/翌月の1日が飛ぶ 月末月初の列を左右に見比べる
担当の重複 同じ人が同じ日に2件、平然と入っている 重複を数える数式を1列足させ、0以外を探す
もっともらしい補完 渡していない作業を勝手に足す/日数を推定で埋める 行数を数え、渡した一覧と件数を突き合わせる

最後の1行が、実は一番厄介です。AIは空白を嫌います。渡していない情報があると、それらしい値で埋めてくることがある。工程表なら「一般的にこの工事は3日」といった具合です。悪意はありません。埋めないより埋めたほうが親切だと判断しているだけです。だから、推定で埋めた箇所には「推定」と書かせる。この一言を前提に入れておくだけで、検算の速度が変わります。

そして順番が大事です。検算する場所は、表が出てきてから決めるのでは遅い。作らせる前に、「この4列は人が見る」と宣言してから頼む。宣言しておくと、AIはその列を検算しやすい形で作ります。合計行を置き、推定にラベルを付け、重複判定の列を用意する。宣言しないと、人が見る前提のない、見た目だけ完成した表が出てきます。

この考え方は、書籍『ChatGPTを、「AI社員」に育てる方法』の第3章に書いた原則そのものです。入口——何を読ませるか——と、出口——何を外に出させるか——は人間が握る。工程表で言えば、入口は前提と材料、出口は「配る」「発注をかける」「元請けに出す」です。中で組む作業はAIに渡してよい。配る判断は人が持つ。ここを分けておけば、AIに工程表を組ませても事故になりません。(出所:書籍『ChatGPTを、「AI社員」に育てる方法』第3章)

もう一つ、渡す前の線を引いておきます。工程表には、協力会社名、個人名、単価、契約条件が混ざりがちです。組ませるだけなら、それらは要りません。担当は「A社」「職長1」で足ります。学習利用の設定や情報の扱いの原則はセキュリティ設計の記事にありますが、工程表に限れば原則は一つです。組むのに要らない情報は、渡さない。

持ち帰り①:前提の穴埋めひな形

そのまま埋めて使えるひな形を置きます。工程表とシフト表の両方に対応させました。空欄を埋めて、作業一覧と一緒に渡してください。長い指示文は要りません。要るのは、この空欄が埋まっていることです。

■ 前提(先に埋める)

1. 期間
    いつから:   年  月  日
    いつまで:   年  月  日
    表の横軸:日 / 週 / 月(どれか)

2. 単位
    1マス=  (1日 / 半日 / 1週)
    所要日数の最小単位=  (1日 / 0.5日)
    所要日数の数え方=  (開始日を含む / 開始日の翌日から数える)
     例:8月5日開始・所要3日 → 終了日は8月7日(含む)/8月8日(含まない)

3. 休みの扱い
    週休:    (例:日曜/土日/シフト制)
    祝日:休む / 休まない
    祝日リスト:(この期間の祝日を日付で列挙)
    一斉休業:    (お盆・年末年始などの期間)
    順延の考え方:    (雨天順延あり/なし、順延時は後ろ全部を送る/送らない)

4. 並び順
    並べる基準:工区順 / 着手日順 / 担当者順 / 分類順
    同点のときの二番目の基準:

5. 読む人
    この表を見るのは:現場の職長 / 元請け・提出先 / 社内会議 / 本人だけ
    1枚に収める:A4横 / A3横 / 画面のみ

6. 確定と仮
    確定している日付:
    仮置きの日付:
    絶対に動かせない日(検査・引渡し・法定期日):

■ 作り方の指定

 ・マクロ、スクリプト、アドインは使わない。数式だけで組む
 ・営業日で数える。休みは3.のリストに従う
 ・推定で埋めた値には「推定」と書く
 ・使った数式は、何をしているかを日本語で1行ずつ説明する
 ・人が見る列を用意する(合計日数/推定の有無/担当の重複)

■ シフト表のときだけ、追加で埋める

  必要人数(時間帯別):
  1人あたり連続勤務の上限:  日
  早番の翌日に遅番を入れてよいか:可 / 不可
  資格・経験が必要な持ち場:
  希望休(日付と氏名の代わりの記号):
  公休の日数(1人あたり月):  日

この紙は、AIに渡すためだけの紙ではありません。埋めているうちに、社内で決まっていなかったことが出てきます。「順延したら後ろを全部送るのか、送らないのか」を、実は誰も決めていなかった。「早番の翌日に遅番を入れてよいか」が、人によって違っていた。前提の穴埋めは、AIへの入力であると同時に、会社のルールの棚卸しです。ここで出てきた「決まっていなかったこと」は、工程表より価値があります。

埋めたひな形は、1回きりにしないでください。ファイルにして残し、次に工程表を作るときも同じものを渡します。前回とずれたところだけ書き換える。これで2回目以降が一気に速くなります。会社の資料をAIに読ませる設計は資料を読ませる記事に詳しく書きました。

持ち帰り②:出てきた表を人が検算するチェックリスト10問

出てきた表を、そのまま配らないでください。10問だけ見ます。全部で5分から10分です。この10分を惜しむと、間違った工程表が現場に出ます。

  1. 行数は合っているか。渡した作業一覧の件数と、表の行数が一致しているか。増えていたら、AIが足している。
  2. 合計日数は合っているか。各作業の所要日数の合計を、電卓で1回検算する。表の合計欄を信じない。なお、並行して進める作業があるときは、所要日数の合計と最終日は一致しません。最終日は別に見ます。
  3. 週をまたぐ作業が正しいか。金曜に始まる作業を2〜3本選び、終了日を指で数えて突き合わせる。あわせて「所要3日」の作業を1本、前提で決めた数え方(開始日を含む/含まない)どおりかを見る。
  4. 祝日が休みになっているか。期間内の祝日を1つ選び、その列に作業が乗っていないか見る。
  5. 月またぎが切れていないか。月末と翌月1日の列を、左右で見比べる。
  6. 前後関係が守られているか。「Aが終わってからB」の組を2つ選び、境目の日付だけ見る。同日開始になっていないか。
  7. 動かせない日が動いていないか。検査日、引渡し日、法定期日が、前提で書いた日付のままか。
  8. 担当が重なっていないか。重複を数える列を見て、0以外の行がないか。シフト表なら連続勤務の上限も見る。
  9. 推定にラベルが付いているか。「推定」の記載がゼロなら、逆に疑う。渡していない情報が必ずどこかにあるはずです。
  10. 配ってよいか。協力会社名、個人名、単価、契約条件が表に残っていないか。配る判断は、人がする。

10問のうち、2から8までは「サンプルを2本選んで目で見る」だけです。全部を検算するのではありません。全数チェックを目指すと続かず、続かないチェックは無いのと同じです。抜き取りでいいので、毎回同じ場所を見る。これが現場で回る唯一の形です。

そして、間違いが見つかったときの直し方を決めておきます。表のセルを直して終わりにしない。前提のどの行が足りなかったかを探して、そこに1行足す。祝日が乗っていたなら、祝日リストが古かったのかもしれない。前後関係が守られていなかったなら、その組を書いていなかったのかもしれない。直しを前提の側に戻すと、次回から同じ間違いが出ません。表の側で直すと、来月も同じ10分を使います。

表を渡したあと——読める人を増やす

できあがった工程表は、誰かに渡ります。現場の職長、元請け、事務所の別の担当者。ここで大事なのが、最初に書いた「数式で作る」理由の1つ目です。渡した相手が中身を読める。

私が顧問先で勧めているのは、表の右端か下部に、短い凡例を置くことです。3行で足ります。

  • この表の条件は、上の条件欄に入っています。日付を変えたいときは、条件欄を直してください
  • 色が変わるセルは、条件に違反しています(担当の重複、連勤の超過)
  • 「推定」と書いてある行は、確定していません

凡例のない表は、渡した瞬間に「作った人に聞く表」になります。凡例のある表は、渡した相手が直せる表になります。この差が、半年後に効きます。作った人が休んでも回るかどうか、が変わるからです。

もう一つ。工程表・シフト表は、置き場所を固定してください。メールに添付して配ると、翌週には5つのバージョンが世の中に存在します。共有フォルダに1つ置き、そこを見に行く。ファイル名に日付を入れる。この2つだけで、「どれが最新か分からない」がほぼ消えます。地味ですが、AIの精度より効きます。

AIが読む会社の情報をどう整えるかという話は、チームでのコンテキスト共有の記事に書きました。工程表も同じ棚に載ります。表を1枚作ることと、その表が会社に残ることは、別の仕事です。

2年後もツールは変わる。残るのは3つ

この記事で、私は特定のソフトの操作手順を書きませんでした。理由は単純で、2年後には画面もボタンも名前も変わっているからです。表計算ソフトの機能も、AIの側の機能も、そのころには別物になっているでしょう。

それでも残るものが3つあります。

残るもの 1

前提を先に書く

期間・単位・休み・並び順・読む人・確定と仮。表の形より先に、この6行

残るもの 2

数式で作らせる

読める・直せる・環境を選ばない。自動化は、回り始めてから一点だけ

残るもの 3

作り直せる形にする

1枚の正解表を守らない。前提を1行変えて、もう1枚出す

この3つは、ソフトの名前が全部変わっても使えます。逆に、この3つを持たずに新しいツールへ乗り換えても、毎回きれいな1枚が出てきて、毎回手で直すことになります。道具を変えても、直すときのつらさは変わりません。

AiWiLLは2026年2月に創業した、社員2名・業務委託を含めて8名の会社です。この人数で顧問先と複数の仕事を回せているのは、道具が優れているからではありません。前提を書いて渡す、というやり方を、資料でも図解でも工程管理でも同じようにやっているからです。判断はプロがする。作業はAIがする。この線を毎回引き直しています。

費用の感覚も置いておきます。工程表・シフト表をAIに組ませるのに、専用のシステムは要りません。使うのは会話型のAIと、いま会社にある表計算ソフトです。AIの実費は一人あたり月3,000円から1万円ほど。工程表を1枚作り直す半日と比べてみてください。

よくある質問

Q1. エクセルが得意ではありません。それでも使えますか?

使えます。むしろ得意でない方のほうが向いています。得意な人は自分で作れてしまうので、前提を言葉にせずに進めがちです。得意でない方は、条件を日本語で書いて渡すことになる。それがそのまま正しい順番です。必要なのは、出てきた数式を「これは何をしていますか」と聞き返す姿勢だけです。

Q2. 100行を超える工程表でも作れますか?

作れます。ただし一度に全部を渡さないでください。工区や工程の分類で20〜30行に区切り、区切りごとに組ませて後で束ねる。長い一覧を丸ごと渡すと、途中の行が抜けたり、日数が推定で埋まったりします。分けて渡し、行数を数えて突き合わせる。これで精度が安定します。

Q3. ガントチャートのバー表示まで作れますか?

作れます。条件付き書式で、開始日と終了日の範囲に入っているセルの色を変える形が基本です。図形を並べるのではなく、日付の判定でセルを塗る。この作り方なら、日付を1つ直せばバーも一緒に動きます。バーを図形で描かせると、直したときにバーだけ取り残されます。

Q4. シフト表で、希望休を全部通してくれますか?

全部は無理な週が必ず出ます。だからAIに「完璧なシフト」を作らせるのではなく、「条件に違反している箇所を色で見せる表」を作らせてください。誰の希望を通すかは、人が決める判断です。AIが決めた形で配ると、決めた人が不在の説明不能な表になります。

Q5. AIが作った表の数式が、間違っていないかどうか分かりません

全部を理解しようとしないでください。チェックリストの10問で、結果の側から見ます。合計日数を電卓で1回、週をまたぐ作業を2本、前後関係を2組。結果が合っていれば、数式の中身を読めなくても実務は回ります。合っていなければ、その1か所だけを聞き返せばいい。

Q6. 既存の工程管理システムがあります。それでも意味がありますか?

あります。システムに入れる前の下書きと、比較案の作成に効きます。システムは決まったものを管理するのが得意で、「もし3日遅れたら」を並べて比べるのは苦手なことが多い。比較はAIと表計算で行い、決まった案だけをシステムへ入れる。役割を分けるのが現実的です。

Q7. 毎回同じ前提を書くのが面倒です

書くのは初回だけです。埋めたひな形をファイルにして残し、次回はそれを渡して、変わったところだけ書き換えます。2回目からは5分です。面倒に感じているなら、それは毎回ゼロから書いている証拠なので、まず置き場所を決めてください。

Q8. マクロで自動化したほうが速いのでは?

作った人にとっては速いです。会社にとっては遅くなることがあります。読める人が1人しかいない仕組みは、その人が休んだ日に止まります。数式で回り始めてから、どうしても手が足りない一点だけを自動化する。この順番なら、自動化しても属人化しません。

Q9. どこから始めるのが一番早いですか?

いま手元にある一番新しい工程表かシフト表を1枚選び、前提のひな形を埋めるところからです。新しい表を作る必要はありません。既にある1枚を「前提の言葉」に翻訳する。この作業が一番学びが多く、そのまま次回の材料になります。

最初の一週間でやること

全部を一度にやらないでください。順番だけ置きます。

  1. いま使っている工程表かシフト表を1枚だけ選ぶ。一番よく直すものを選ぶ
  2. 前提のひな形を埋める。埋まらない欄が出たら、そこが社内で決まっていないところ
  3. 決まっていないところを、その場で決める。決められないなら「仮」と書いて残す
  4. 作業一覧と前提を渡して、数式だけで組ませる。マクロは使わないと明示する
  5. チェックリストの10問で検算する。おかしければ、表ではなく前提を直す
  6. 前提のファイルを共有フォルダに置く。次回はここから始める
  7. 2週目に、遅延案をもう1枚作らせてみる。比べられることを体感する

1週目のゴールは、きれいな工程表ではありません。前提が1枚のファイルになっていること。それだけです。表は、前提があれば何枚でも出てきます。前提がなければ、何枚出しても毎回手で直すことになります。

まとめ:正解の1枚ではなく、作り直せる型を持つ

工程表とシフト表をAIに作らせる、の本体は、作業の外注ではありません。直せる形で表を持つことです。

  • つらいのは作るときではなく直すとき。1本ずれると全部ずれる構造を、先に壊す
  • 頼む順番は、表より前提。期間・単位・休み・並び順・読む人・確定と仮の6行を先に書く
  • マクロに逃げず、数式で作らせる。読める・直せる・環境を選ばない
  • 1枚の正解表を守らない。前倒し案・遅延案・人員1人減案を、前提1行の差し替えで出す
  • AIが間違えるのは営業日・祝日・端数・引き継ぎ条件。検算する列を、作らせる前に宣言する
  • 持ち帰りは、前提の穴埋めひな形と、検算チェックリスト10問
  • 間違いは表ではなく前提の側で直す。そうすれば次回から出ない

2年後、使っているソフトの名前は変わっているはずです。前提を先に書く、数式で作らせる、作り直せる形にする——この3つは残ります。私が自社で先に回し、顧問先には型だけを渡しているのも、そこです。

伴走の役割についてはAI顧問とはにまとめてあります。工程表を毎回作り直すところから抜けたい方のために、進め方をまとめた無料の資料セットを置いてあります。前提の置き方と、人が検算する場所の設計は、こちらからどうぞ。

「自社なら何から始めるべきか」を見つけたい方へ

AI顧問「WiLLAGENT」は、AIを「知る」で終わらせず、会社の仕事で使える状態まで一緒に動かす伴走型AI顧問です。現場に行き、一緒に作り、社内に残す。経営・営業・マーケティング・業務改善まで、現場の課題から優先順位を決めて進めます。

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