AIにインタビューさせる棚卸し術|「書けない」でも会社の知見が文書になる

書けないなら、話せばいい——白紙に悩む姿と、AIの質問に答えるだけで文書が積み上がる姿の対比イラスト

「じゃあ、それ文書化しておいてもらえますか」——会議でこう頼んで、期日どおりに文書が出てきた会社を、私はほとんど見たことがありません。生成AI顧問として累計15社、研修・レクチャーまで含めれば30社超の企業と仕事をしてきて、これは自信を持って言える数少ないことの1つです。業務のやり方、会社の強み、品質の基準、経営の方針。「あの人に聞けば分かる」ことを文書にしようという号令は、どの会社にも一度はあります。そして、そのほとんどが白紙のまま止まっています。

先に結論を書きます。書けないのは、その人の能力の問題ではありません。白紙に向かって書くという行為そのものに、構造的な無理があるのです。だから直すべきは人ではなくやり方で、具体的には「書く」を「話す」に変えます。AIに質問させれば、人は答えるだけでいい。答えた言葉は、その場で文書になる。私が顧問先の幹部レクチャーでも実際に使っているこの「AIにインタビューさせる棚卸し術」を、設計プロンプトの5要素から、コピーしてすぐ使える汎用プロンプト全文まで、この記事にすべて置いていきます。


赤堀亘
執筆・監修 AiWiLL株式会社 代表取締役 赤堀亘

日本テレビ・Bitget等でのB2Bマーケティング実務を経て、2023年にSHIFT AI創業へ参画。コミュニティ・スクール責任者として2年で3万人規模へのグロースを主導。2026年、静岡県熱海市でAiWiLL株式会社を創業。生成AI顧問「WiLLAGENT」として、防災設備・不動産管理・旅館・飲食など現場型の中小企業に入り、売り上げ向上に寄与するマーケティングや営業施策をどうAIで質を上げ、数を増やすかを一緒に考え抜き、人手不足のなか報告書・見積・マニュアルづくりといった実務をいかにAIで省くかといった、AIを使った事業づくりを伴走支援している。生成AI研修・Eラーニングの監修も担当。企画したイベント・ウェビナーは累計112件、参加者は1万人超。

AIエージェント・新規事業リサーチ・マーケティングの実践セミナー3本の本編と、WiLLAGENTのサービス説明PDFを、無料の資料セットとして公開しています。→ 無料資料セットを受け取る

目次

なぜ「文書化しておいて」で文書は出てこないのか

まず、責める話ではないことをはっきりさせておきます。文書化を頼まれて書けなかった人は、サボったわけでも能力が足りないわけでもありません。頼まれた本人は真面目で、必要性も理解していて、やる気すらある。それでも書けない。私の見聞きする範囲では、この止まり方に業種も会社の規模も関係がありません。理由は3つ、すべて構造の側にあります。

1つ目、白紙に向かうのは三重の同時作業だから。文書を書くという行為は、「何を書くべきか思い出す」「それを順序立てて構造化する」「読める文章に表現する」という3つの仕事を同時にこなす作業です。これは訓練された専門技能であって、現場のプロの技能とは別物です。営業のエースが提案の名手でも、経理のベテランが数字に強くても、「自分の仕事を白紙から文書にする」訓練を受けた人は、社内にほとんどいません。

2つ目、本人には「書くべきこと」が見えていないから。毎日やっている仕事は、本人の中では「普通にやっているだけ」に圧縮されています。どの判断に価値があり、どの手順が他人には非自明なのか、当の本人がいちばん分からない。だから書き始めても「こんな当たり前のこと、書く意味があるのか」と手が止まります。実際にはその「当たり前」こそが、会社が文書にしたかった中身なのですが。

3つ目、書く時間は永遠に来ないから。文書化を頼まれるのは、たいていその業務をいちばん分かっている人、つまりいちばん忙しい人です。「手が空いたときでいいので」の手が空く日は来ません。数週間後に「あれ、どうなりました?」と聞かれて、「すみません、まだ……」と答える。この気まずいやり取りを数回繰り返して、号令は静かに消えていきます。

ここで、1つ思い出してほしいことがあります。書けなかったその人は、会議で聞かれれば30分でも話せるはずです。「あの案件どうなってる?」と聞かれて絶句する人はいない。つまり、頭の中に中身はあるし、言葉にする力もある。「業務を言語化できない」のではなく、白紙という形式が言語化を邪魔しているだけなのです。ナレッジ化の方法を考えるとき、この区別が出発点になります。直すべきは人の能力ではなく、形式のほうです。

発想の転換——「書く」を「話す」に変える

形式を直すとは、こういうことです。AIをインタビュアー(聞き手)にして、人は質問に答えて話すだけにする。AIが1問ずつ質問し、答えに応じて深掘りし、聞き終わったらその場で文書に清書する。人がやることは、椅子に座って自分の仕事について話すことだけ。ペンもキーボードも、白紙も要りません。

やってみると分かりますが、これは体感がまったく違います。白紙を前にした10分は苦痛ですが、質問に答える10分はただの会話です。しかも質問には、先ほどの三重の同時作業を分解する効果があります。「何を書くか」は質問が決めてくれる。「構造化」と「文章表現」はAIが引き受ける。人に残るのは「思い出して話す」だけ——これなら、誰でもできます。

観点 「書いておいて」方式 「AIに話す」方式
必要なスキル 構造化しながら文章を書く専門技能 質問に答えて話すだけ
最初の10分 白紙を前に固まる 1問目に答えた時点で始まっている
本人の負担 数時間〜数十時間(実際は着手されない) 話すこと30〜60分×数回
出てくる中身 本人が「書くべき」と思えたことだけ 深掘りで、本人が意識していない判断まで出る
途中で止まるリスク 高い(白紙のまま期日が過ぎる) 低い(答えた分は必ず素材として残る)
清書 本人がやる(さらに時間がかかる) AIがその場でやる
あとからの更新 腰が重い(「また書くのか」) 追加インタビューで差分を足すだけ

実際のやり取りは、たとえばこんな空気で進みます。

経費精算のチェックでは、金額のほかに必ず見ている項目はありますか?
日付と、申請者の部署かな。あとは……なんとなく「この組み合わせは一度確認しよう」っていうのがあるんだよね。
その「確認しようと感じる組み合わせ」を、具体的に教えてください。たとえば過去には、どんなケースがありましたか?
……そういえばこれ、いままで誰にも教えたことがなかったな。

▲ AIインタビューの再現イメージ(特定の会社の事例ではなく、一般化した描写です)。本人が言葉にしたことのない判断基準は、だいたい3問目の深掘りから先に出てくる

この「誰にも教えたことがなかった」が出た瞬間が、ナレッジ化の本番です。白紙方式では絶対に紙の上に載らなかった一文が、質問1つで口から出てくる。私はこの瞬間に立ち会うのが好きで、正直に言えば、この仕事のいちばんの醍醐味だと思っています。

なぜAIが聞き手に向くのか——人間の聞き手にできない4つのこと

「聞き手を立てるなら、人間でもいいのでは」という疑問は当然あります。実際、人間のインタビューにも価値はあります。それでも私がAIを聞き手に推すのは、組織の中の人間には構造的にできないことが4つあるからです。

①無限に付き合う。人間の聞き手を確保するには、日程調整という関門があります。忙しい2人の60分を合わせるだけで1〜2週間、それを2回3回と重ねるのは現実には相当な覚悟が要ります。AIなら、思い立った瞬間に始められて、10分で中断しても文脈を覚えていて、深夜でも昼休みの15分でも続きから再開できます。「あとで続きをやろう」が、言葉どおりに実行できる聞き手は貴重です。

②遠慮なく深掘りする。人間同士の会話では、「なぜですか?」を3回続けると詰問に聞こえます。相手が先輩なら「そんなことも知らないのか」と思われる不安があり、相手が後輩なら「これくらいで分かるだろう」という省略が起きる。AIへの回答には、この対人の力学が働きません。聞く側は何往復でも「たとえば?」を続けられるし、答える側も、人間相手なら格好をつけてしまう説明を、あっさり正直に話します。

③その場で清書する。人間が聞き手のインタビューは、録音→文字起こし→構造化→文書化という後工程が控えていて、経験上、止まるのはたいていここです。話は聞けたのに、文書になる前に熱が冷める。AIは聞き手と書き手が同一人物なので、インタビューが終わった1分後には清書が始まります。「聞いたのに文書にならない」という一番もったいない失敗が、構造的に起きません。

④偉い人にも新人にも、同じ調子で聞く。これが実は一番大きいと私は思っています。組織には「聞ける関係」と「聞けない関係」があります。社長の頭の中の経営方針を、部下は怖くて深掘りできません。「その方針の根拠は何ですか?」と社長に3回聞ける社員は、まずいない。逆に新人のつまずきは、聞く側のベテランが「そこは価値のある情報だ」と気づけずに流してしまう。AIは相手の役職を忖度しません。社長にも新人にも、同じ精度で「もう少し具体的に教えてください」と聞く。役職の非対称を消せる聞き手は、組織の中には存在しないのです。

基本の型——インタビュー設計プロンプトの5要素

AIインタビュー設計プロンプトの5要素の図解。テーマ・ゴール・1問ずつ・深掘りルール・清書形式

やり方は簡単で、AIに「聞き手」という仕事を依頼するプロンプトを1枚書くだけです。ただし、「私にインタビューしてください」の一行だけでは機能しません。顧問現場で型を磨いてきた結果、必要な要素は5つに落ち着きました。

① テーマ 何について聞くか(1インタビュー1テーマに絞る)
② ゴール 最終的にどんな文書がほしいか(誰が読むかまで書く)
③ 1問ずつ 質問は必ず1つずつ・回答を受けて次を決めさせる
④ 深掘りルール 抽象語には具体例を要求・誘導尋問の禁止など
⑤ 清書形式 出力する文書の構成・創作禁止・本人確認まで指定
AIが「聞き手」として機能し、回答が構造化された文書(ファイル)になる

▲ インタビュー設計プロンプトの5要素。全文テンプレートは記事末尾に置いてあります

①テーマは、1つに絞ります。「うちの会社のすべて」では質問が浅くなって失敗します。「あなたが担当している月次請求の業務」「わが社の強み」——このくらいの粒度が1回分です。②ゴールは、ほしい文書の姿を先に言葉にします。「後任が読めば一人で回せる引き継ぎ文書」と「採用ページに載せる会社の強み」では、AIがすべき質問がまるで違うからです。

③1問ずつは、指定しないと必ず破られます。放っておくとAIは律儀に5問まとめて出してきて、5問並んだ画面を前にした人は、白紙に向かうときと同じ「書くモード」に戻ってしまいます。「質問は必ず1つずつ。私の回答を受けてから次の質問を決めること」と明示してください。④深掘りルールは、この型の心臓部です。「抽象的な答えには『たとえば?』と具体例を求める」「『必ず』『絶対』『普通は』が出たら例外がないか確認する」「私の答えを先回りして提案しない」。この最後の1行の意味は、後半の失敗パターンで説明します。⑤清書形式では、文書の構成に加えて「私が話していないことを補完・創作しない」「曖昧なまま残った点は未確認事項として列挙する」を必ず入れます。

1つ、白状しておきます。私は普段から「プロンプトよりコンテキスト」と言い続けている人間で、プロンプトの書き方を主役にした記事にはかなり否定的です。その私がプロンプトの型を丸ごと公開しているのは、矛盾ではありません。このプロンプトは入口にすぎず、本当の成果物は、出てきた回答——会社のコンテキストがファイルになったもの——のほうだからです。プロンプトの文言を磨き込むことに時間を使うくらいなら、その時間で1回多くインタビューをして、会社の知見のファイルを1枚増やしてください。価値が積み上がるのはファイルの側です。

用途別の使い方4つ——業務・強み・水準・方針

「棚卸し」と聞くと、業務の一覧表づくりを思い浮かべる方が多いはずです。業務を洗い出してAIに渡せる仕事を見つける棚卸しは、業務の棚卸しのやり方の記事で書いた「1週間の業務メモ方式」が向いています。AIインタビューが力を発揮するのはその先——一覧に載った個々の仕事の中身や、そもそも一覧表にできない「考え方」を言語化する場面です。私が顧問現場で実際に使っている用途は4つあります。

用途 AIに聞かれる人 できあがる文書 主な使い道
①自分の業務の棚卸し 各担当者 業務の手順・判断基準・注意点 引き継ぎ/属人化対策/AIに仕事を任せる準備
②会社の強みの言語化 経営者・古参社員 強み・選ばれる理由の一覧 営業資料/採用ページ/HP・広報の文言
③業務水準の明文化 部門の中核メンバー 「どこまでやったら合格か」の基準書 新人教育/品質チェック/評価の物差し
④経営方針の言語化 経営者 方針とその根拠の文書 幹部との共有/判断の拠り所/AIへの指針

①自分の業務の棚卸しは、全員に勧められる入口です。自分の業務はいちばん身近なのに、いちばん言語化されていません。引き継ぎや属人化対策としての価値はもちろんですが、いま一番大きいのは「AIに仕事を任せる準備」としての価値です。業務の手順と判断基準がファイルになっていれば、それはそのままAIが読み込む仕事の指示書になります。この接続の全体像はAI社員の作り方の記事に書いたとおりで、棚卸しファイルはAI社員の判断材料そのものです。

②会社の強みの言語化は、経営者ほど効きます。「御社の強みは何ですか」と正面から聞かれて、すらすら答えられる経営者は多くありません。手が止まるか、謙遜が返ってくる。強みは比較の中にしか存在しないので、「同業他社にできなくて、御社にできることは何ですか」「離れなかったお客様は、なぜ離れなかったのだと思いますか」という深掘りの往復が要るのです。これはまさにAIの得意な聞き方で、出てきた言葉は営業資料にも採用ページにもそのまま流用できます。

③業務水準の明文化は、「うちの当たり前」を基準書にする仕事です。どこまでやったら合格で、何をしたら不合格なのか。ベテランの頭の中にはあるのに文書にはない、この水準の言語化は、新人教育と品質管理の土台になります。なお、引退が近いベテランの暗黙知を丸ごと会社に残すという一番重いテーマについては、教材・マニュアル・AIの3出口に展開する手順まで含めて暗黙知を会社にインストールする方法の記事で深掘りしているので、そちらを読んでください。本記事の型は、その入口としてそのまま使えます。

④経営方針の言語化は、社長の頭の中にしかない方針を、幹部が「解釈」ではなく「参照」できる状態にする仕事です。方針が文書になっていない会社では、幹部は社長の顔色と過去の発言から方針を推測して動きます。文書になっていれば、判断に迷ったとき読みに行ける。そしてこれもまた、AIに渡せば会社の判断の指針として働き始めます。

この手法を、私は顧問先の幹部レクチャーに組み込んでいます。熱海の総合防災点検会社・WECSさん(業歴30年以上)の幹部向け連続レクチャーでは、幹部が自分の仕事をAIインタビューで棚卸して、ファイルにするワークを実施しています。設計思想はシンプルです。経営方針・業務水準・自分の役割——この3つが本人の頭の外に出てファイルになっていれば、人にもAIにも引き継げる。逆にこの3つが頭の中にある限り、どれだけ高性能なAIを入れても、会社の実態を知らない一般論しか返ってきません。レクチャーで延べ100名以上に伝えてきて、この順番——道具の使い方より先に、まず自分の仕事を言語化する——を崩さないことが、私のこだわりです。

こうした進め方を体系的に知りたい方向けに、無料の資料セット(セミナー動画3本+サービス概要PDF)を用意しています。

うまくいくコツ3つと、やりがちな失敗3つ

コツ①:1回60分まで。長い1回より、短い複数回

質問に答え続けるのは、思っている以上に消耗します。60分を超えたあたりから答えが目に見えて雑になるので、私は1回60分で切ることを目安にしています。1テーマを仕上げたければ、60分×2〜3回。間を空けるのには積極的な意味もあって、1回目のあとの日常業務の中で「そういえば、あれも言っておかないと」が必ず湧いてきます。この「あとから思い出す」を回収するためにも、複数回に分ける設計のほうが結果的に濃くなります。

コツ②:答えは声で。タイピングは「書く」への逆戻り

AIチャットにキーボードで答えを打ち込んでいると、人はいつの間にか文章を推敲し始めます。それは形を変えた「書く」であり、白紙の苦痛が薄まって戻ってくるだけです。答えは音声入力で話すか、対面・会議形式なら録音して文字起こしをAIに渡してください。話し言葉の「なんとなく」「あー、それはね」という言い回しには、整った文章から抜け落ちる判断の温度が乗っています。清書はどうせAIがやるのですから、入力は崩れていて構いません。

コツ③:清書は必ず本人確認。飛ばすと方式ごと信用を失う

話し言葉からの清書には、言い過ぎと言い足りないが必ず混ざります。本人が読んで「ここは違う」「正確にはこうだ」と直す工程を、絶対に飛ばさないでください。理由は正確性だけではありません。本人確認を通っていない文書が配布されて誤りが見つかると、「AIが作った、実態と違う文書」という評判が社内に立ちます。そうなると失われるのは1枚の文書の信用ではなく、この方式そのものへの信用です。一度そうなった会社で再起動するのは、最初に始めるより何倍も大変です。

失敗①:誘導尋問にさせてしまう

AIは優秀な聞き手ですが、放っておくと「〜という理解で合っていますか?」という確認質問や、気の利いた選択肢の提示を始めます。これが危ない。人は選択肢を示されると「あ、それでいいです」と流されるからです。出てくる文書は、本人の言葉ではなくAIの推測を本人が追認しただけのものになります。読み手には区別がつかないぶん、たちが悪い。対策はプロンプト側で打てます——「私の答えを先回りして提案しない」「はい/いいえで答えられる質問を続けない」。記事末尾の汎用プロンプトには、この2行を最初から入れてあります。

失敗②:一度に全部聞こうとする

「この機会に、うちの業務を全部言語化しよう」と風呂敷を広げた途端、質問は浅く広くなり、出てくる文書は目次だけ立派な要約になります。テーマの広さと深掘りの深さはトレードオフです。1インタビュー1テーマ。物足りないくらいに絞って、そのぶん回数を重ねてください。

失敗③:きれいな文書を作って満足する

使い道を決めずに始めた棚卸しは、どれだけ丁寧に文書化しても保管庫行きになります。行き着く先は、白紙のまま止まったマニュアルと同じ場所です。「来月入る中途採用者に渡す」「営業資料の次の改訂に使う」「AIの報告書チェックに読み込ませる」——誰が・いつ・何に使うのかを先に決めてから、聞き始めてください。使い道が決まっていれば、ゴール(5要素の②)も自然に書けます。

よくある質問

Q1. どのAIツールを使えばいいですか?

始めるだけなら、普段使いの生成AIチャットで今日からできます。スマホの音声入力を併用すれば、「書く」工程は完全にゼロになります。できあがったファイルを溜めて、AI社員の判断材料として日々の業務で使う段階まで進むなら、ファイルとフォルダを扱えるAIエージェントが向いています。費用感の目安として、私の顧問先ではAIツールの実費は1人あたり月3,000円〜1万円の範囲に収まっています。

Q2. 話すのが得意ではない人でもできますか?

できます。インタビューは雄弁さを要求しません。質問は1つずつしか来ませんし、言い直しは何度でもできて、沈黙して考え込んでも誰も気まずくならない。プレゼンより、雑談より、ハードルは低いはずです。それでも話しにくい場合は、まず箇条書きのメモを渡してから「このメモについて、1つずつ質問して肉付けしてください」と頼む折衷案が使えます。白紙よりずっと楽なことに変わりはありません。

Q3. 社外秘の内容をAIに話して大丈夫ですか?

インタビューは会話なので、話しているうちに顧客名や金額が自然と口をつきます。それ自体は止めなくて構いません——現実的なのは、清書の段階でAIにマスキングさせる運用です。前提として①入力内容がAIの学習に使われる設定をオフにする(学習オプトアウト)、②清書ファイルには固有名詞・取引条件・機密の数値を残さない、の2点を決めておけば、聞き出したい本体は判断基準と考え方なので実務上困ることはほとんどありません。会社としての情報の渡し方の考え方はセキュリティと情報入力の記事にまとめています。

Q4. AIが話を盛ったり、勝手に作ったりしませんか?

放っておけば盛ります。清書の段階で、話していない「それらしい一文」を補ってくるのは、生成AIの性質として織り込むべきです。だから対策を2段構えにします。1段目はプロンプトで、「私が話していないことを補完・創作しない」「曖昧な点は未確認事項として列挙する」を清書形式に明記する。2段目は運用で、清書は必ず本人が読んで確認する(コツ③)。この2段を守れば、実用上の問題はほぼ抑えられるというのが私の現場感です。

Q5. 1回のインタビューで、どこまで文書になりますか?

60分で「1テーマの初稿」と考えてください。引き継ぎ文書や基準書として運用に耐える水準には、追加の深掘りと本人確認を含めて2〜3回が私の目安です。ただし、最初から完成を目指す必要はありません。初稿の時点で白紙よりはるかに価値があるので、まず使い始めて、使いながら追加インタビューで育てるほうが、結果として良い文書になります。

Q6. 自社だけでやるのと、外部の支援を受けるのとの違いは?

この記事の型と末尾のプロンプトで、自社だけで始められます。そのために公開しています。外部と組む意味が出るのは、棚卸しした文書をどう配置し、どうAIの仕事につなげるかという設計の段階です。私たちの生成AI顧問は月額20万円または30万円(税別)・3ヶ月完結で、幹部レクチャーでの棚卸しワークからファイル設計、AI社員への接続までを伴走します。顧問という関わり方の中身はAI顧問とは何かの記事に費用の考え方も含めてまとめています。

持ち帰り用:今日使える汎用インタビュープロンプト全文

最後に、5要素を組み上げた汎用プロンプトの全文を置いておきます。【 】の2箇所を書き換えて、普段使いのAIチャットに貼るだけで、今日から始められます。用途4つ(業務の棚卸し・強みの言語化・水準の明文化・方針の言語化)のどれにも、テーマとゴールの差し替えだけで対応できます。

# AIインタビュー依頼プロンプト(汎用版)

あなたはインタビュアーです。これから私にインタビューをして、
最後に文書としてまとめてください。

## テーマ(何について聞くか)
【例:私が担当している月次請求業務の内容と判断基準】

## ゴール(最終的にほしい文書)
【例:後任者が読めば、一人で業務を回せる引き継ぎ文書】

## 進め方のルール
- 質問は必ず1問ずつ。まとめて聞かない
- 私の回答を受けてから、次の質問を決めること
- 全体で12〜15問・60分以内を目安に切り上げること

## 深掘りのルール
- 抽象的な答えには「たとえば?」と具体例を求めること
- 「必ず」「絶対」「普通は」が出たら、例外がないか確認すること
- 専門用語・社内用語が出たら、その場で意味を確認すること
- はい/いいえで答えられる質問を続けないこと
- 私の答えを先回りして提案しないこと(誘導尋問の禁止)
- 話が脱線しても止めず、一通り話させてから本筋に戻すこと

## 清書の形式
- インタビュー終了後、次の構成で文書にまとめること
  1. 概要(この文書は何か・誰のためのものか)
  2. 本文(見出し+箇条書きで、聞き出した内容を構造化)
  3. 判断基準・注意点(「この場合はこうする」の形で列挙)
  4. 未確認事項(曖昧なまま残った点のリスト)
- 私が話していないことを補完・創作しないこと
- 清書後、「言い過ぎ・言い足りない箇所がないか」を私に確認すること

準備ができたら、最初の質問からどうぞ。

このプロンプトの本丸は、深掘りのルールと清書の形式です。誘導尋問の禁止、創作の禁止、未確認事項の明示、本人確認——この記事で説明した失敗対策は、すべてこの2ブロックに畳み込んであります。逆に言えば、テーマとゴール以外はいじらなくて大丈夫です。まず1回、このまま使ってみてください。

まとめ:白紙をやめた日から、会社の知見は文書になり始める

要点は3つです。①「文書化しておいて」で文書が出てこないのは、能力ではなく白紙に向かう形式の問題。書けない人も、聞かれれば話せる。②だから「書く」を「話す」に変えて、AIを聞き手にする。無限に付き合い、遠慮なく深掘りし、その場で清書し、社長にも新人にも同じ調子で聞く——この4つは人間の聞き手には構造的にできない。③型はテーマ・ゴール・1問ずつ・深掘りルール・清書形式の5要素。1回60分まで、答えは声で、清書は必ず本人確認。

最初の一歩としてお勧めしたいのは、誰かに頼む前に、今日、自分自身が30分だけ受けてみることです。テーマは「自分の業務の棚卸し」でいい。上のプロンプトを貼って、音声入力で答えるだけです。3問目あたりで「そういえば、これ誰にも言ったことがないな」が自分の口から出てきたら、この方式が御社で機能する証拠です。その体験を持って、次は隣の席の人に「30分だけ、話を聞かせてもらえますか」と声をかけてください。

棚卸しからファイル設計、AIへの接続まで、進め方の全体像を知りたい方向けに無料の資料セットを用意しています。私と一緒に3ヶ月で進めたい方は、下の資料からAI顧問の中身も覗いてみてください。

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