ここ1年、いろいろな会社で同じ光景を見てきました。誰かが気を利かせて「使えるプロンプト100選」を社内に配る。最初の1週間はみんな試す。1ヶ月後、誰も開かなくなる——AI活用の相談に来る会社の多くが、この段階を一度通過しています。私自身、顧問業を始めた頃は「良い指示文の型を渡せば動き出すはず」と考えていた時期があったので、この失敗の気持ちはよく分かります。そして15社の顧問と30社超の支援を経たいま、はっきり言えることがあります。
AI活用の成否は、プロンプト(指示文)の上手さでは決まりません。AIに「何を読ませて、どこで働かせるか」——つまりフォルダの設計で決まります。この設計を私は「AI社員を作る」と呼んでいます。AIを便利な道具として使うのではなく、自社のことを知っていて、自社のルールで働き、教えた仕事を覚えていく社員として迎え入れる。この記事は、その作り方の全手順です。私が顧問先の導入初日に必ずやっている中身を、順番どおりに公開します。
日本テレビ・Bitget等でのB2Bマーケティング実務を経て、2023年にSHIFT AI創業へ参画。コミュニティ・スクール責任者として2年で3万人規模へのグロースを主導。2026年、静岡県熱海市でAiWiLL株式会社を創業。生成AI顧問「WiLLAGENT」として、防災設備・不動産管理・旅館・飲食など現場型の中小企業に入り、売り上げ向上に寄与するマーケティングや営業施策をどうAIで質を上げ、数を増やすかを一緒に考え抜き、人手不足のなか報告書・見積・マニュアルづくりといった実務をいかにAIで省くかといった、AIを使った事業づくりを伴走支援している。生成AI研修・Eラーニングの監修も担当。企画したイベント・ウェビナーは累計112件、参加者は1万人超。
AIエージェント・新規事業リサーチ・マーケティングの実践セミナー3本の本編と、WiLLAGENTのサービス説明PDFを、無料の資料セットとして公開しています。→ 無料資料セットを受け取る
「AI社員」とは何か——道具として使うか、社員として迎えるか
AI社員とは、自社の情報・ルール・仕事の型をファイルとして渡され、自分の作業場所(フォルダ)を持って働くAIエージェントのことです。ChatGPTやClaudeに毎回コピペで質問する使い方との違いは、雇用形態の違いだと思ってください。チャットは「その都度呼ぶ外部の物知り」、AI社員は「会社のことを知っていて、机とファイル棚を持っている中の人」です。
私はこの構造を、顧問先のレクチャーで1つの式にしています。
優秀なAI社員 = Prompt × Context × Harness
伝え方 × 会社の情報密度 × 守らせるルール。どれか1つ欠けると「賢いだけの他人」で終わる。
世の中のAI活用術はPrompt(伝え方)に偏っています。しかし考えてみてください。優秀な新人が入社した初日に、あなたの会社は何を渡しますか。話しかけ方のマニュアルではないはずです。会社案内、業務資料、仕事のルール、そして自分の机——渡すのはコンテキストと働く場所です。AIも同じで、この記事で作るのはまさにその「入社初日セット」です。
ちなみに、私が「AI活用」ではなく「AI社員」という言葉にこだわるのには理由があります。道具の言葉で語ると、人は道具の期待値でしか使いません。「検索の代わり」「文章の清書係」で止まる。社員の言葉で語った瞬間、問いが変わるのです。「何を教えたか」「どこまで任せるか」「仕事ぶりをどう評価するか」——この問いを持った会社から、AIは戦力になっていきます。顧問先でも、社内の会話が「AIに聞いてみた」から「うちのAI社員に任せた」に変わった頃が、定着の分水嶺だと感じています。言葉の設計は、運用の設計です。
なぜ「プロンプト集の配布」から始めると止まるのか
冒頭のプロンプト100選が止まる理由は、使う人の怠慢ではありません。構造的に3つの欠陥があります。
| 欠陥 | 何が起きるか |
|---|---|
| ①文脈がない | どんな名文のプロンプトでも、AIは自社の商品も顧客も知らないまま答える。返ってくるのは上手な一般論で、そのままでは仕事に使えない |
| ②業務が人によって違う | 経理と営業では欲しい出力が違う。万人向けのプロンプト集は、誰の業務にもぴったりは合わない |
| ③メンテされない | プロンプト集は配った瞬間から古くなる。改善しても各自のコピペには反映されない |
誤解しないでほしいのですが、伝え方の工夫に意味がないという話ではありません。順番の話です。下手な指示でも、正しいフォルダで正しい資料を読んでいるAIはまともな仕事をします。逆に、完璧な指示文でも、何も読んでいないAIは一般論しか返せません。指示の上手さで埋まる差より、読ませる情報で開く差のほうが、私の現場感覚では桁違いに大きい。だから先にフォルダを作るのです。
ここから、作り方を5ステップで示します。所要は最小構成なら半日、丁寧にやって数日です。
STEP1:任せる仕事を「1つだけ」選ぶ
最初の間違いは、いきなり全業務を対象にすることです。AI社員は新入社員と同じで、最初の担当業務は1つに絞ります。選ぶ基準は3つ。
- 繰り返し発生する(週次・月次のレポート、議事録の整理、定型の資料作成)
- 手順を言葉にできる(あなたが新人に教えられる仕事なら、AIにも教えられます)
- 結果をすぐ確認できる(成果物がファイルとして出てくる仕事が理想)
迷ったら「議事録から要点とネクストアクションを起こす仕事」をおすすめしています。ほぼすべての会社に存在し、材料(議事録)が既にあり、効果が初日に見えるからです。部門別の定番も載せておきます。私が実際の導入現場で「最初の1業務」に選んできた顔ぶれです。
| 部門 | 最初の1業務の定番 | 材料になるファイル |
|---|---|---|
| 経営・企画 | 会議の議事録→決定事項・宿題の一覧化 | 議事録・録音の文字起こし |
| 営業 | 過去の提案書を下敷きにした新規提案の下書き | 過去の提案書3〜5本 |
| 経理・総務 | 月次の定型レポートの整形・集計 | 毎月作っているExcel・様式 |
| 現場・技術 | 点検メモ・作業記録→報告書の下書き | 過去の報告書と記録の実例 |
| 広報・マーケ | 1つの素材(セミナー・取材)→複数媒体の原稿化 | 過去の投稿・トーンが分かる原稿 |
共通点に気づくでしょうか。どれも「過去の実例がすでに社内にある仕事」です。お手本が存在する仕事から始める——これが最初の1業務選びの、いちばん外さない基準です。
STEP2:AI社員の「机」を作る——フォルダ設計
次に、AI社員専用の作業フォルダを1つ作ります。ここが本丸です。私が顧問先で使っている基本形はこれです。
AIワークスペース/
├ CLAUDE.md(AGENTS.md) ← AI社員の取扱説明書(STEP3で書く)
├ 01_会社情報/ ← 会社案内・サービス一覧・用語集
├ 02_案件資料/ ← 任せる仕事の材料(議事録・過去の成果物)
├ 03_作業中/ ← AIが作業する場所
├ 04_納品物/ ← 完成した成果物の置き場
└ 05_ログ/ ← やった仕事の記録
設計のルールは3つだけです。第一に、見せてよい資料だけを入れる。顧客の個人情報や人事情報は入れない——AIに渡す情報の線引きはセキュリティと情報入力の考え方の記事で詳しく書いたとおり、「見せない」ではなく「必要な分だけ、必要なときに見せる」です。第二に、過去の良い成果物を入れる。あなたの会社の「良い提案書」を3本読んだAIは、あなたの会社らしい提案書を書きます。お手本は指示文より雄弁です。第三に、古い資料を混ぜない。廃止済みの料金表が混ざったフォルダのAIは、堂々と古い価格で見積もりを作ります。
正直に書くと、私自身のワークスペースは、この半年で数え切れないほど作り直しています。ひどいときは1日のうちに4回、フォルダ構成を転換したこともありました。それでも言えるのは、作り直しを恐れる必要はないということです。フォルダはあとから直せます。最初の1歩で完璧な設計を狙って動けなくなるより、5つのフォルダで今日始めるほうが、確実に先に着きます。
STEP3:取扱説明書(ルールファイル)を書く——AI社員との雇用契約
フォルダの一番上に、AI社員が毎回最初に読むテキストファイルを置きます。Claude CodeならCLAUDE.md、CodexならAGENTS.mdという名前です。中身は「会社のこと・仕事のルール・禁止事項」——人間の社員でいう、雇用契約書と就業ルールと業務マニュアルを1枚にしたものです。最小構成の実物を載せます。
# この会社について
- 株式会社◯◯。事業内容は…(3行で)
- 詳細は 01_会社情報/ を参照
# 仕事のルール
- 成果物は 03_作業中/ で作り、完成したら 04_納品物/ へ
- 出力は「結論→理由→次のアクション」の順に整理する
- 不明点は推測で断定せず、確認事項として出す
# 禁止事項
- 個人情報・顧客の非公開情報・契約条件は扱わない
- 社外に出る文書は下書きまで。送信・提出は人間が行う
大事なのは、これが「AIが毎回読む設定ファイル」だという点です。人間向けの通達は読まれずに終わりますが、このファイルは起動のたびに読まれ、確実に効きます。ルールを追加すれば翌日から全部の仕事に反映される——人間の組織ではあり得ない浸透速度です。
書き方のコツを3つ添えます。これは私が何十回も書き直して固めた順序です。
- 禁止事項から書く — 「してほしいこと」は後からいくらでも足せますが、「してはいけないこと」の漏れは事故になります。まず守りから。
- 参照順序を書く — 「作業の前に01_会社情報とこのファイルを読む」「案件の資料は02_案件資料を見る」。AIは場所を教えられて初めて資料を探せます。
- 最初は10行以内 — 私は初期に張り切って何十行も書き、自分でも把握できないルールファイルを作って反省したことがあります。ルールは網羅ではなく厳選。運用しながら、本当に必要だった行だけを足していくほうが、結果的に守られるファイルになります。
STEP4:仕事をインストールする——一度教えたら、次から1行
準備ができたら、STEP1で選んだ仕事を最初の1回、一緒にやります。やり方は人間の新人へのOJTと同じで、対話しながら手順を固め、固まった手順をテキストファイルとしてフォルダに残す。私はこれを「AI社員に仕事をインストールする」と呼んでいます。
最初の1回の進め方は、実は3手で済みます。
- 口頭で説明するように指示する — 「議事録から週次サマリーを作りたい。決定事項と宿題を抜き出して、この過去サンプルと同じ形式で」——新人に説明するのと同じ粒度でOKです。
- できあがった成果物を直させる — 「宿題には担当者名も付けて」「見出しはこの順で」。直しの指示こそが、あなたの会社の暗黙のこだわりの言語化です。
- 手順書を書かせる — 仕上がったら「いまの手順を、次回から再現できるように手順書ファイルとして保存して」と頼む。手順書はあなたが書くのではなく、AIに書かせるのがポイントです。人間は確認して直すだけ。
できあがる手順書は、たとえばこんな形です。
# 手順書:議事録の週次サマリー作成
1. 02_案件資料/議事録/ の今週分ファイルをすべて読む
2. 決定事項・宿題(担当者つき)・懸案を抽出する
3. 04_納品物/サンプル_週次サマリー.md と同じ形式で整形する
4. ファイル名は「週次サマリー_MMDD.md」で 04_納品物/ に保存する
5. 宿題のうち期限が今週中のものを最後に警告として並べる
インストール後は、こうなります。
▲ 仕事のインストール後のやり取り(再現イメージ)。指示は1行、手順の説明は不要になる
これは絵空事ではなく、私の毎日そのものです。私の会社では日報の作成、SEO記事の入稿、提案資料の組み立てまで、それぞれ手順書ファイルにして「1行で呼べる仕事」になっています。一度教えた仕事が消えない・辞めない・翌日も同じ品質——ここがAI社員と「毎回コピペのチャット」の決定的な差です。
あわせて、インストールに「向く仕事・向かない仕事」の線も引いておきます。任せない仕事を決めるのも、AI社員の設計のうちです。
| 向く仕事 | 向かない(人間が持つべき)仕事 |
|---|---|
| 手順が決まっている定型・反復業務 | 前例のない判断・経営判断そのもの |
| 材料がファイルとして存在する仕事 | 対面の交渉・関係構築が本体の仕事 |
| 成果物の合否を人間が確認できる仕事 | 責任の所在が問われる最終承認・送信・提出 |
| 下書き・集計・整形・変換・要約 | 謝罪・トラブル対応など感情の機微が要る場面 |
右の列に共通するのは「間違えたときの取り返しがつきにくい仕事」です。AI社員には下書きまでを任せ、最後の確認と責任は人間が持つ。この分担を最初に決めておくと、任せる側の心理的な安心感がまるで違います。
STEP5:育てる——ログと振り返りで教科書を厚くする
最後は運用です。といっても大げさなことではなく、2つだけ。①AI社員に作業ログを書かせる。ルールファイルに「作業が終わったら05_ログ/に時刻つきで1行追記する」と書いておけば、あとは勝手に溜まります。私の会社のログはこんな調子です。
- 14:22 7月分の顧問先レポート3件を下書き(04_納品物/)。B社分は数値の確認待ち
- 16:05 セミナー文字起こしからnote記事の下書きを作成
- 17:40 提案資料の構成案を過去3案件を下敷きに作成
このログには2つの効用があります。任せた仕事の棚卸しが自動でできること。そして月末にログを眺めると、「AI社員が今月やった仕事の一覧」=導入効果の報告書がそのまま出来上がっていることです。②週に一度、うまくいった指示・いかなかった指示をルールファイルに反映する。ルールファイルは書き上げるものではなく、育てるものです。
そして1人分のAI社員が育ってきたら、次の段階は「会社の教科書」をチームで共有する仕組みです。ここには手動コピー配布の崩壊など先に知っておくべき落とし穴があるので、コンテキストのチーム共有の記事を読んでから進んでください。また、AI社員の働く場所(アプリ内かPC全体か)の選び方はCoworkとClaude Codeの違いの記事で解説しています。
1人が1行で回るようになったあとに、私自身が試して驚いた次の景色も書いておきます。2025年6月、Claude Code上でボスAIがタスクを切り、ワーカーAIが3体で作業して報告する小さなAI組織を組んだことがあります。Windowsだと環境構築はハードモードでしたが、隣で動かしていたCursorに「助けて」と頼んだらほぼ勝手に揃ってしまい、出来上がったあとは私の仕事がレビューとフィードバックだけになった。AIがPMも作業もやるので、人間は品質の判断に集中できる——「AI社員」が1人育ったあとの発展形として、この役割分担はかなり生々しい実感でした。いきなり組織を組む必要はありません。ただ、「1人が1行で回る」まで来た会社には、次に見える景色として知っておいてほしい体験です。
導入翌週によくある3つのつまずき
5ステップを終えた会社が、翌週に持ってくる相談はだいたい3つに集中しています。先回りして書いておきます。
- 「ルールを守ってくれない」→ 起動場所が違う — ルールファイルは、そのフォルダで起動したときに読まれます。デスクトップや別フォルダで起動すれば、AIは何も読んでいません。「AI社員は自分の机でだけ働ける」と覚えてください。
- 「一般論しか返ってこない」→ 材料が足りない — フォルダに会社案内1枚しか入っていないケース。判断してほしい仕事には判断材料を、書いてほしい仕事にはお手本を。AIの出力の質は、直前に読んだ資料の質を超えません。
- 「欲張って崩壊」→ 一気に5業務任せた — 手順が固まる前に対象を広げると、どの仕事も中途半端な精度で止まり、「AIは使えない」という誤った結論だけが残ります。1業務が1行で回るようになってから、次の1業務です。
この順番自体が答え——ツール選定は最後でいい
気づいた方もいると思いますが、この5ステップに「どのAIツールを契約するか」はほとんど登場しません。それが答えです。仕事を選び、フォルダを作り、ルールを書き、教える——この設計はどのツールでも同じで、ツールが変わっても資産として残ります。逆にツール選定から入ると、契約しただけで導入した気になり、フォルダは空のまま、AIは「賢いだけの他人」のまま止まります。
もう1つ、この順番には副産物があります。フォルダを設計し、手順を言葉にする作業は、そのまま自社の業務の棚卸しになるのです。AI社員を作った会社の経営者から「AIより先に、うちの業務がこんなに整理されたのが収穫だった」と言われたことが何度もあります。AIのための整理は、人間のための整理でもあります。
経営の目線では、もう1つの効果が大きい。属人化の解消です。ベテランの頭の中にしかなかった手順が、AI社員に教える過程で全部テキストになります。担当者が休んでも、辞めても、手順書とお手本はフォルダに残る。「あの人しかできない仕事」が「フォルダを開けば誰でも(AIでも)再現できる仕事」に変わる——AI導入の顔をした、事業の継続性への投資です。
従来の使い方との違いを、表で締めておきます。
| 観点 | チャットにコピペする使い方 | AI社員(フォルダ設計) |
|---|---|---|
| 毎回の指示 | 長い(背景説明から書く) | 1行(文脈はフォルダが持つ) |
| 出力の質 | 人と日によってばらつく | ルールとお手本で安定する |
| 改善の蓄積 | 個人のコツ止まり | ルールファイルに蓄積し全仕事に効く |
| 引き継ぎ | できない(頭の中) | フォルダごと渡せる |
| ツール乗り換え | ゼロからやり直し | フォルダ資産はそのまま移行 |
よくある質問(導入現場で実際に聞かれる順)
Q1. プロンプトエンジニアリングは学ばなくていいのですか?
後回しで構いません。フォルダとルールファイルが整った状態では、素朴な日本語の指示で十分に動きます。伝え方の工夫が効いてくるのは、コンテキストが整った後の上積みの段階です。順番が逆になると、冒頭のプロンプト100選と同じ道をたどります。
Q2. どのAIツールで始めればいいですか?
ファイルとフォルダを扱えるAIエージェント(Claude Code、Cowork、Codexなど)なら、この記事の作り方はそのまま通用します。有料プラン(月3,000円程度〜)のもので始めてください。迷う場合の判断軸は働く場所の広さで選ぶのが私のおすすめです。
Q3. フォルダはどこに作ればいいですか?
自分のPCのローカルに作ってください。1つ注意があり、Gitという版管理の仕組みを併用する場合は、OneDriveやDropboxの同期フォルダの中に作ると干渉で不具合が起きることがあります(私はこれで痛い目を見ました。詳細はチーム共有の記事に書いています)。
Q4. まず1人で始めてもいいですか?会社の承認を待つべきですか?
1人で始めてください。ただし2点だけ先に押さえること——①入力内容がAIの学習に使われる設定をオフにする(いわゆる学習オプトアウト)、②見せてよい資料だけの作業フォルダを切る。この2つを守れば、個人の検証として始めて、成果を持って社内提案する順番が最速です。
Q5. 情報漏えいが心配です
その感覚は正しく、だからこそ「何でも読ませる」のではなくフォルダで線を引きます。学習オプトアウト・入力してよい情報の3段階・元に戻せるバックアップまで、セキュリティ設計の記事で顧問先に配っている教材ごと公開しています。
Q6. ExcelやスプレッドシートのようなAI以外の道具の仕事も任せられますか?
任せられます。むしろ集計・転記・整形のようなExcel仕事は、AI社員の得意分野です。ポイントは、対象のファイルを作業フォルダに置く(またはファイルの場所をルールファイルに書く)こと。「毎月のこのExcelを、この形式に集計する」という仕事は、手順書化すれば典型的な1行仕事になります。
Q7. 部署ごとにAI社員を分けて作るべきですか?
最初は1人(1フォルダ)で十分です。業務が増えてフォルダが混みあってきたら、「経理AI社員」「営業AI社員」のように仕事の単位でワークスペースを分ける段階が来ます。分けるときの判断基準は人間の組織と同じで、扱う資料と守るべきルールが明確に違うかどうか。なお複数人で同じAI社員(共通ルール・会社情報)を使う段階になったら、共有の仕組みが必要です——チーム共有の記事で実装まで公開しています。
Q8. 効果はどれくらいで出ますか?
最初の1業務なら、インストールした当日から変わります。ただし本当の効果は「1つの仕事が速くなる」ことではなく、教えた仕事が積み上がっていく複利にあります。私の顧問先で見てきた範囲では、90日後の典型的な姿は、5〜8個の仕事が1行で呼べる状態です。そこまで来ると、会議の風景が変わります。「これ、AI社員に教えられる仕事だよね」という会話が自然に出るようになったら、その会社のAI活用はもう止まりません。焦らず1業務ずつ増やしてください。
持ち帰り用:AI社員の入社手続きチェックリスト
- 任せる仕事を1つ選んだ(繰り返し発生・手順を言語化できる・結果を確認できる)
- 利用アカウントで「入力内容を学習に使う」設定をオフにした(学習オプトアウト)
- AI社員専用の作業フォルダを作った(見せてよい資料だけ)
- 過去の良い成果物を「お手本」としてフォルダに入れた
- 古い資料・廃止済みルールをフォルダから外した
- ルールファイル(CLAUDE.md/AGENTS.md)に会社のこと・ルール・禁止事項を書いた
- 最初の仕事を一緒に1回やり、手順をテキストファイルで残した(インストール)
- 1行の指示で同じ仕事が再現できることを確認した
- 作業ログの置き場所を決めた
- 週1回、ルールファイルを見直す時間を予定に入れた
今日の30分でやる、最小のスタート
5ステップを読んで「よし、来週やろう」と思った方へ。経験上、来週は来ません。今日の30分でここまでやってしまうのがおすすめです。
- 0〜5分:任せる仕事を1つ決める(迷ったら議事録の整理)
- 5〜15分:フォルダを5つ作り、その仕事の材料と過去の成果物を2〜3個入れる
- 15〜25分:本文のサンプルを写して、10行のルールファイルを置く
- 25〜30分:AIエージェントをそのフォルダで起動し、最初の1回を頼んでみる
30分後、あなたの会社には社員が1人増えています。まだ研修初日の新人ですが、この新人は忘れず、辞めず、教えたぶんだけ確実に育ちます。
まとめ:プロンプトは借り物、フォルダは資産
AI社員の作り方は、①仕事を1つ選ぶ→②フォルダを作る→③ルールファイルを書く→④仕事をインストールする→⑤育てる、の5ステップです。プロンプトの上手さは人に付き、コピペとともに消えます。フォルダとルールファイルと手順書は会社に残る資産で、ツールを乗り換えても、担当者が代わっても、そこにあり続けます。
私はAI活用の本質を「AIに賢くなってもらうこと」ではなく、「会社の仕事を、AIが働ける形に翻訳すること」だと考えています。その翻訳の最小単位が、今日作る1つのフォルダです。完璧でなくていい。私のフォルダも作り直しの連続です。それでも、空のチャット画面に今日も同じ質問をコピペしている状態からは、確実に一歩抜け出せます。
この設計を自社の業務でどう進めるか、体系的な資料を無料で用意しています。私と一緒に90日で作りたい方は3ヶ月プログラムの中身を、まず全体像を掴みたい方は下の資料セットをどうぞ。
「自社なら何から始めるべきか」を見つけたい方へ
AI顧問「WiLLAGENT」は、AIを「知る」で終わらせず、会社の仕事で使える状態まで一緒に動かす伴走型AI顧問です。現場に行き、一緒に作り、社内に残す。経営・営業・マーケティング・業務改善まで、現場の課題から優先順位を決めて進めます。
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