APIキーの交換は、新しい文字列を設定して終わりではありません。使っている処理を洗い出し、実行中のアプリや定時処理が新しい設定を読めることを確認して、古いキーを失効させます。Windowsでは、保存先を更新しても起動済みプロセスに自動で反映されるとは限らない点が重要です。

赤堀亘
執筆・監修 AiWiLL株式会社 代表取締役 赤堀亘

AiWiLL株式会社代表。AI顧問「WiLLAGENT」で、企業の仕事をAIと人が進められる形にする伴走支援を行っています。記事では、実務で使える手順と、人が確認すべき点を明らかにします。

定期交換と、漏えいの疑いを分ける

このページの主な対象は、計画的なキー交換です。漏えいが疑われる場合は、停止時間を避ける都合だけで旧キーを有効にし続けず、提供元と社内の事故対応手順に従って失効・利用状況確認を進めます。以下の順番を、そのまま事故対応の優先順位として使わないでください。

キーの値を入れない利用台帳

記録項目 説明用の例
用途 社内問い合わせの分類。返信は人が確認
起動方法 手動実行/毎朝の定時ジョブ
実行ユーザー 対象ジョブの管理アカウントを識別する名前
設定の渡し方 秘密情報の保管先から起動時に取得
利用キーの識別子 管理画面で識別できる名称。値は転記しない
確認担当 生成物を承認する業務担当者

同じ処理に手動実行と定時実行がある場合は、行を分けます。開発者のPCでは動くのに朝の処理だけ失敗する、という漏れを防ぐためです。バックアップ用のジョブや、失敗したときだけ動く再実行処理も対象に含めます。

通常交換の進め方

  1. 新しいキーに必要な操作権限があるか確認し、管理された保管先へ登録する。
  2. 許可された検証処理だけを新しい設定へ切り替える。
  3. 短い入力で応答と、想定したアカウントの利用状況を確認する。
  4. 本番の設定を更新し、必要なアプリやジョブを適切に起動し直す。
  5. 業務の成果物を確認し、全利用先の切り替えが済んだ時点で旧キーを失効する。
  6. 失効後も通常の実行経路が成功することを確認し、台帳を更新する。

新旧キーを同時に持てるか、識別子ごとに利用を確認できるかは提供元の仕様次第です。対応していない場合は、停止時間や代替手段を先に決めます。古いキーの文字列をチャットへ貼って、使っている人を募る方法は避けます。

Windowsで見落としやすい二つの場所

一つは起動済みの親アプリです。環境変数を更新した後も、古い環境を引き継いだ子プロセスが動く場合があります。もう一つは実行ユーザーです。自分のUserスコープを変更しても、別アカウントで動くサービスが同じ設定を見るとは限りません。

「新しいキーを保存した」と「その業務が新しいキーを使った」は別の確認欄にします。管理画面でキー別の使用状況を確認できるならそれを使い、できない場合は設定経路と旧キー失効後の動作を組み合わせて判断します。キーの全文をログへ出す必要はありません。

失敗したときに残す記録

交換の目的:定期交換/その他
対象処理と担当者:
切り替えた設定の場所:
新しいキーの識別名:
再起動・再読み込みの実施日時:
手動の確認結果:
定時処理の確認結果:
旧キー失効の確認:
残る対象と次の確認期限:

認証が失敗したときは値を出さずに環境変数を確認する方法へ戻ります。特定の人しか設定を把握していない状態なら、業務の属人化を解消する進め方と合わせて、復旧と引き継ぎの担当を決めてください。

確認に使った資料

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