複数の案件と対外連絡を抱える不動産会社の担当者から、メールの返信が追いつかないという相談があった。AiWiLLが打ち合わせで確認したのは、文章を考える負担だけではない。別の人への確認や自分の作業が終わらず、まだ返事を決められない場合もあった。
AiWiLL株式会社代表。AI顧問「WiLLAGENT」で、企業の仕事をAIと人が進められる形にする伴走支援を行っています。記事では、実務で使える手順と、人が確認すべき点を明らかにします。
この二つを一緒にすると、丁寧な下書きは増えても、止まった仕事は動かない。今回の記録から振り返るのは、AIに書いてもらう前に、人が何を渡す必要があるかという話だ。
「返事を書く」と「返事を決める」を分ける
当日の相談には、複数の連絡手段を行き来する負担が出ていた。単に入力する時間が長いわけではない。確認先から返事が来ない、自分が次の作業に着手できていない、いつ対応できるかまだ言えない。そうした仕事が返信待ちとして残っていた。
ここで「近日中に対応します」とAIが自然な文章を補うと、未確定の約束を一つ増やしてしまう。先に必要なのは、回答済みの事実、いま確認していること、まだ約束できないことを分けることだった。打ち合わせでは、会議から決定事項と次の行動を取り出すことや、小さな返信作業から扱うことが話し合われた。全業務を一度に仕組みにする前に、どこで返事が止まったのかを見る入口だった。
残った手順書は、一言の意図から下書きに進む形
AiWiLL側の別の提供物として残るGmailの社内マニュアルは、人が伝えたいことを短く入力し、AIが文章に整え、人が確認して挿入する手順を示している。完成したスライドでも、この操作の順を確認できた。
入力を最初から丁寧に書く必要はない。「その日は難しい」「まず受け取りを知らせたい」といった意図を渡す。その後、生成文を読み、必要なら直し、最後に送信内容を確認する。説明は操作の順番に分かれ、画面を見ながら次の一手を追える資料になっていた。
ただし、この資料の存在から、社内全員が日常利用したとは言えない。資料に書かれた返信時間の目安も実測記録ではないため、改善効果には数えていない。画面や製品機能の説明も当時の資料であり、現在の操作案内として再配布するなら確認が必要だ。
この支援から読み取れるのは、AIに渡す最小単位が「受信メール一式」とは限らないことだ。返せる内容が決まっていれば、短い意図を文章に整える手順が役に立つ。決まっていなければ、確認先と次の作業を先に明らかにする。返信が遅いという一つの相談を、この二つに分けたところに、業務支援としての意味があった。

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