顧客との連絡を複数人で引き継ぐ不動産会社の担当者には、メール、SMS、LINEなどに分かれたやり取りを社内で共有したいという課題があった。相手には、それまで使ってきた連絡手段がある。AiWiLLとの問い合わせ体制の会議では、その習慣を残しながら、対応の経緯と折り返し先を整理した。

赤堀亘
執筆・監修 AiWiLL株式会社 代表取締役 赤堀亘

AiWiLL株式会社代表。AI顧問「WiLLAGENT」で、企業の仕事をAIと人が進められる形にする伴走支援を行っています。記事では、実務で使える手順と、人が確認すべき点を明らかにします。

会議要約だけを読むと、窓口をLINEにまとめる話に見える箇所がある。文字起こしまで戻ると、既存の連絡手段は維持し、新しい相手や導線がない場合にLINEを案内する、という違いが確認できる。現場録にするうえでも、この差を落とすわけにはいかなかった。

相手の使い方と、社内の記録を分ける

既存の相手へ、一斉に別の連絡手段へ移ってもらうのは簡単ではない。同じ人と複数の手段で話している場合もある。会議では、相手との接点を無理に変えるより、連絡があったことや対応の経緯を社内で把握できる状態を優先していた。

共有メールやSlackなど、すでにある手段を踏まえる一方、さらに管理ツールへの入力を増やす難しさも話されている。相手が連絡できることと、社内で対応を引き継げることを両方残すために、入口ごとの扱いを決めた。

関連する体制案では、AIに返信の下書きを作らせ、担当者が確認して送る段階を提案している。そのためにも、AIへ渡す連絡履歴が、誰との何の用件か分かる必要がある。この会議で確認できたのは、その前提となる連絡経路の整理までであり、AIによる返信運用の完成ではない。

折り返しが個人へ戻る問題も、入口の設計だった

電話の話では、受信だけでなく発信番号が論点になった。会社の用事でも個人の番号からかけると、相手はその番号へ折り返す。社内に窓口を設けても、電話が担当者個人へ戻り続ければ、受け渡しが難しくなる。

会議では、スマートフォンで会社番号から発信する03plusの利用対象を確認し、代表も含めて整理している。AiWiLL側で用意した設定手順書は、管理者側の準備と各利用者の操作を分け、最後に発信テストで相手に表示される番号を確認する形だ。

ただし、手順書の完了欄が埋まった記録は取得できていない。契約や設定案の記載と、全員の発信確認が済んだことは分けて読む必要がある。今回確認できる成果は、利用範囲の判断と、各人が確認するための手順が残ったことまでだ。

問い合わせの整理は、会社にとって便利な入口を一つ作るだけでは終わらない。相手の連絡習慣、発信後の折り返し先、社内で履歴を見る方法を合わせて考える。この会議では、その具体的な不都合を一つずつ確認したことで、「全部LINEへ」という短い要約では伝わらない設計判断が残った。

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