不動産管理の問い合わせを扱うチームが、過去の対応を次の回答にも使えるようにしたいと考えていた。AiWiLLは、Slackのやり取りからAIがFAQ候補を整理し、人が確認・承認したものだけを回答へ使う構成を仕様案にした。

赤堀亘
執筆・監修 AiWiLL株式会社 代表取締役 赤堀亘

AiWiLL株式会社代表。AI顧問「WiLLAGENT」で、企業の仕事をAIと人が進められる形にする伴走支援を行っています。記事では、実務で使える手順と、人が確認すべき点を明らかにします。

今回、その仕様を問い合わせ対応マニュアルと読み合わせると、入口に一つの確認点が見つかった。同じチェックのリアクションが、片方では「対応が終わった」、もう片方では「知識として取り込む」きっかけになっていた。作業の終了と再利用の許可は、同じ判断だろうか。

一件の対応が終わっても、そのまま標準回答にはならない

対応マニュアルでは、担当者が結果を残し、チェックを付けて仕事を閉じる。一方、FAQの仕様では、その印の付いた記録を取り込み、整理して蓄積する案がある。

この二つをそのままつなぐと、個別の相手にだけ認めた対応や、その時点だけの例外も候補に入る。完了したという事実から、「次の人にも同じように答えてよい」とは判断できない。これは稼働中のBotで事故が起きたという話ではない。現存する二つの制作物を、記事化のために点検して見つけた仕様上の論点だ。

元のFAQ仕様にも、個人の案件を除くことや、人が確認してから使う段階は書かれている。つまり、再利用の判断が必要だという方向はすでにあった。しかし、現場が普段付ける完了印をそのまま入口にすると、その後の確認に何が流れてくるかが変わる。

AIに整えさせる前に、候補へ入れる条件を決める

仕様に残っているのは、記録を受ける場所、AIによる整理、FAQの下書き、人の承認という段階である。ここから得られる修正案は、対応完了とFAQ候補の選定を分け、候補になった後も、個別条件を外して使えるかを人が判断することだ。

たとえば、作業を閉じる人が付ける印と、知識化を確認する人が付ける印を別にする方法が考えられる。ただし、これは今回の読み合わせから出した編集上の修正案であり、既存運用へ反映済みではない。担当者と実際の操作を確かめてから決める必要がある。

確認できた成果物は、Bot仕様と問い合わせ対応マニュアルまでだ。連携処理が動いたログ、承認済みFAQの実体、回答精度の検証結果は取得していない。したがって、問い合わせを自動化した成功例としては扱わない。

AIへ渡す前の小さな印にも、業務上の意味がある。既存の記録から知識を作るときは、どの文を抽出するかに加え、その記録がなぜ残され、どの判断で閉じられたかを見る必要がある。今回残せたのは、その境界を見落とさないための具体的な確認点だった。

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