不動産案件を進めてきた担当者の経験を、次の担当者も使える手順に残したい。AiWiLLは、過去の録音をAIで整理する支援の中で、案件の経緯を標準手順と事例、質問や工程表の一式にまとめた。一般的な工程だけでなく、進行が遅れた理由や、次回に確認すべきことも材料にした。
AiWiLL株式会社代表。AI顧問「WiLLAGENT」で、企業の仕事をAIと人が進められる形にする伴走支援を行っています。記事では、実務で使える手順と、人が確認すべき点を明らかにします。
ただし、資料を読み進めると、マニュアルができたことと、案件を動かす準備が整ったことは別だと分かる。全体工程表には、担当や期限をこれから決める欄が残っていたからだ。
録音の量より、間違いを一つ直せるか
第2回の進行ガイドには、過去の録音から、物件、関係者、業務上の知識を整理した経緯が記されている。さらに別の確認工程を設け、案件の説明に含まれていた事実誤りを修正したことも書かれていた。
今回の記事化では、その記述の対象になった全録音を再度取得して確認したわけではない。棚卸しの実施範囲はガイドの報告として扱い、具体的な内容は残存するマニュアル一式で照合した。
準備されたセッションも、完成ファイルを見せるだけの構成ではなかった。本人に内容を見てもらい、一つ直し、その知識で仕事を進められるかを確かめる狙いがある。AIが整えた文の量ではなく、現場の人が誤りを見つけて修正できるかを、入口にしていた。
難所の記録を、質問と工程に分ける
制作物は、質問リスト、標準マニュアル、個別案件のケーススタディ、AIと人の役割分担、ヒアリングシート、全体工程表に分かれている。これらは、同じ説明を何種類も作ったものではない。
ケーススタディには、初期に全体の作業と担当、期限をそろえなかったことへの振り返りがある。相手の決断だけを待っていたという説明にせず、社内で作業を進める体制も見直す内容だ。その振り返りを次に使うため、最初に聞くことはヒアリングシートへ、進める順と責任は工程表へ移している。
AI協働のガイドでは、会議後の整理や資料の下書きと、人が行う交渉、現地判断、優先順位の決定を分けていた。予定表を作ることはAIに任せても、誰がいつ動くかを決める責任まで消えるわけではない。
空欄は、失敗の印ではなく次の判断だった
工程表の初版には、担当や期日が未決定の箇所がある。ここを過去の会話から推測して埋めると、まだ合意していない仕事が決定事項に見えてしまう。未定のまま残し、誰と決める必要があるかを示す方が、次の打ち合わせに使える。
実際に確認できたのは、この一式の制作と、修正を含む準備の記録までである。工程表が運用されて遅延が減ったことや、AIの定期確認が動いたことは確認していない。法務や税務に関わる原資料の記述も、この現場録では再利用していない。
録音を知識にする仕事は、会話をきれいに並べ替えるだけでは終わらない。過去の間違いを直し、次回の質問に変え、まだ決めていない仕事を空欄として残す。この一式は、その段階までを形にした制作物だった。

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