退職者の資料をNotebookLMへ入れただけでは、引き継ぎは完了しません。後任が自分で資料へアクセスできること、実際の仕事で必要な答えが見つかること、資料にない例外を誰へ確認するかが決まっていることまで確かめます。本人が在職している間に、後任が一件試すことが中心です。
AiWiLL株式会社代表。AI顧問「WiLLAGENT」で、企業の仕事をAIと人が進められる形にする伴走支援を行っています。記事では、実務で使える手順と、人が確認すべき点を明らかにします。
最初に対象業務を一つ決める
「担当していた仕事を全部まとめる」では、集める資料が広がり過ぎます。まず月次報告、問い合わせの振り分け、発注の確認など、期限と完成物を説明できる仕事を選びます。入力、判断、出力、確認先を一枚に書き、その仕事に必要な資料だけを集めます。
| 区分 | 集めるもの |
|---|---|
| 通常の手順 | 開始条件、作業順、提出先、期限 |
| 実物 | 個人情報などを除いた完成例と入力例 |
| 判断 | 止めたケース、差し戻した理由、例外 |
| 問い合わせ先 | 判断する役割と、連絡すべき条件 |
| 管理情報 | 原本の場所、管理者、更新する人 |
顧客の秘密、個人情報、他の担当者に共有する権限のない資料は、便利だからという理由でまとめません。社内の利用ルールに沿って対象を選びます。架空の入力で手順を試し、必要な情報の範囲を確かめる方法もあります。
本人へ聞くのは「手順にない分岐」
この仕事で、いつもと違う対応をした直近の例はありますか。
何を見て、通常の手順では進めないと判断しましたか。
そのとき誰へ確認しましたか。
後任が同じ状況を見つけるための手がかりは何ですか。
資料のどこへ書けば、次の担当者が探せますか。
インタビューをそのまま正式ルールにはしません。本人の経験、現在の会社の決定、確認が必要な推測を分け、管理者が採用する内容を決めます。NotebookLMで質問を作ったり、抜けた資料を探したりする作業と、会社としてルールを決める作業は別です。
後任が答え合わせする三つの問い
一つ目は通常の仕事です。「今月の入力を受けたら、何をどこへ出すか」を説明してもらいます。二つ目は例外です。「必要項目が欠けている場合はどうするか」を確かめます。三つ目は不明です。「資料に答えがない場合、誰へ確認するか」を尋ねます。
本人の説明なしでは進められない箇所を記録し、資料へ戻します。答えが出たかだけでなく、出した成果物を本人または管理者が確認します。後任が質問文を暗記しただけでは、似た別の入力に対応できるとは限りません。
退職後のアクセスを事前に確認する
原本が本人だけのDriveや個人管理の場所にあると、退職後のアカウント変更で参照できなくなるおそれがあります。Googleのソース管理の説明でも、原本へのアクセス喪失や削除は参照に影響します。正式な保管先と管理者を決め、後任のアカウントで開けるかを退職前に確かめます。
ノートが見えるか、元資料が読めるか、更新できる人が残るかを別々に点検します。設定操作は組織の管理担当者に合わせて進め、アカウントやパスワードを後任へ渡すことを引き継ぎ方法にしません。
完了条件を四つに絞る
- 後任が自分の権限で資料を開ける。
- 通常の一件を手順に沿って進め、成果物を確認できる。
- 例外で止める条件と相談先が分かる。
- 今後の更新責任者と原本が決まっている。
在職中に判断の理由を引き出す方法は技能伝承の記事、特定の人への依存を整理する考え方は属人化の解消で詳しく紹介しています。
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