AIで動画編集は、どこまでできるのか。私の答えは、「撮った動画を渡して『いつもの感じで編集して』と頼めば、テロップも字幕も入った番組になって、朝起きたらできている」です。人がやるのは、できあがったもののレビューだけです。

赤堀亘
執筆・監修 AiWiLL株式会社 代表取締役 赤堀亘

AiWiLL株式会社代表。AI顧問「WiLLAGENT」で、企業の仕事をAIと人が進められる形にする伴走支援を行っています。記事では、実務で使える手順と、人が確認すべき点を明らかにします。

かかるのは、ClaudeのProプラン(月20ドル、日本円で3,000円前後)と、PCが1台。最初に一度だけ、PCとAIエージェントの環境づくりが要ります。

この記事では、私たちが自社のYouTubeで回しているやり方を、実際の1本と一緒にお見せします。

編集の手間とお金で、動画を出せていなかった

以前は、自分でFilmoraを使って手間をかけて編集するか、業務委託の方にお願いしていました。正直に言うと、編集する手間や依頼する費用を考えて、出せていない動画がたくさんありました。

AIでできるなら、と始めたのが、YouTube「AI顧問の現場録」です。今は、AIが編集できなかったら、こんなに投稿できていないと言い切れます。

実例:車の中で撮った25分が、17分の番組になった

2026年10月5日、車の中で25分ほど話を撮りました。PCに渡して頼んだのは、「これを編集したい」「話し方がきれいに聞こえるように、徹底的に」という2つと、仕上がりのイメージ(参考にしたいビジネス番組)だけです。

AIがやったことは、次のとおりです。

  • 言いよどみ・相づち・間・言い直しを、音声ごと削って17分05秒にまとめた
  • 車のノイズを、AIのノイズ除去(DeepFilterNet)で消した
  • 地名と、聞き手の名前が出るところを、カットした
  • 要点のテロップ、章の切り替え、図解、ランキングの表を入れた
  • 全文の字幕(298行)を作り、YouTubeの字幕として登録した
  • 音量をそろえ、黒い画面や無音が残っていないかを機械で確かめた
  • YouTubeに非公開でアップした

できあがったのが、この回です。

→ 紙と電話で回る水産の会社に、LINEで動く「AI社員」を入れた話

私がやったのは、サムネイルを選ぶこと、BGMの雰囲気やつなぎ目を耳で確かめること、公開に切り替えることだけです。これまでの回も、レビューで直したのは挿絵くらいで、ほかはほぼ直しなしでした。

この1本の作り方は、人向けの手順書と、AI向けの手順にまとめました。次からは「これ編集して」の一言と撮影データで、同じ品質を出せます。

AIが使う編集の道具「Remotion」

AIに動画編集を任せるといっても、AIが編集ソフトを人のように手で操作しているわけではありません。私たちが使っているのは、Remotionという、AIが操作する道具です。

動画は、写真の集合体です。Remotionは、その1枚1枚をプログラムで作って、つなげていく仕組みです。AIは、いらないところを切り、文字や図をHTMLで描いてアニメーションにし、写真や画像を差し込みます。どう組み合わせるかも、AIが考えます。

だから、動画と差し込みたい画像があれば、それを渡すだけで1本になります。

「生成」と「編集」は、別もの

AIで動画を作る、と聞くと、ChatGPTの画像生成や動画生成AIのように、0から映像を描くものを思い浮かべるかもしれません。それは「生成」です。

私たちの番組は「編集」です。すでにある映像と声を、切って、組み合わせて、テロップやアニメーションを足して1本にします。撮った動画があるなら、まずはこちらから始めるのが近道です。

生成と編集を組み合わせると、応用もききます。キャラクターの画像と背景を用意して、話しているように少し動かせば、紙芝居のようなアニメの解説動画を量産できます。私たちの「ぽん太の世界史」は、この作り方です。画像や音声を作るAPIをAIが使える状態にしておけば、会話の動画や、研修用の動画(eラーニング)も作れます。

AIにどんな道具を渡すかで、できることの幅が決まります。

費用:撮った動画の編集なら、月3,000円から

Claude。公式の料金ページでは、Proは月払いなら月20ドル、年払いなら月17ドル相当(200ドルを一括)で、どちらも税別です。AIに作業を任せる「Claude Code」も含まれます。上位のMaxは月100ドルからです(2026年10月6日に確認)。

私の感覚では、撮った動画を編集するだけならProで足ります。たくさん編集するなら、月1万5,000円前後のMaxがあれば、ほぼ十分です。私自身はMaxを使っています。

作り方によって、Claudeのほかに要るものが変わります。

作り方Claudeのほかに要るもの
撮った動画を編集する特になし
0から作る。画像をCodexで作るCodexは、ChatGPTの有料プランで使える。画像生成に追加の料金はかからない
0から作る。画像をClaudeの環境で作る画像生成は、別のサービスが必要
0から作る。画像を使わず、図や文字をHTMLで描いて動かす画像生成は要らない
0から作る。声も作る音声を作るAPIの料金が、別にかかる

会社で使うときの注意。動画を組み立てるRemotion、変換と確認に使うffmpeg、ノイズ除去のDeepFilterNetなど、中で使っている部品は無料で使えます。ただしRemotionは、無料で使えるのが「個人と3人以下の会社」です。4人以上の会社は、有料のCompany License(1席あたり月25ドルから)が必要です(2026年10月6日、公式のライセンスページで確認)。

編集をAIに任せると、ラフに撮って数を打てる

普通に動画を作ろうとすると、編集が大変なので、企画をしっかり練ってから撮らなければ、と思います。でも、いらないところをAIが切って編集してくれるなら、まずラフに撮ればいい。企画を作るコストが下がります。

何の動画が当たるかは、出してみないとわかりません。数を出して、直していける。新しい試みに手を出しやすくなったことが、いちばん大きな変化です。

PCは、普通のビジネスPCより少し上を1台

動画を作ると、保存する容量が要ります。ストレージは、512GBくらいは欲しいところです。

目安構成できること
最低ラインメモリ8GB・Core i5/Ryzen 5級・SSD 512GB編集はできるが、そのあいだはほかの作業ができない
おすすめメモリ16GB以上・Core i7/Ryzen 7級何本かを同時に編集でき、編集しながらほかの作業もできる
AiWiLLの環境Core i7-12700・メモリ32GB・GeForce RTX 3070 Ti(8GB)・SSD 1TB+HDD 4TB大量の動画を、同時に編集できる

私の環境は、今買うと30万〜40万円くらいの構成です。ただ、10万〜20万円くらいのPCがあれば、基本は問題ありません。動画をずっと編集してもらう人件費や外注費と比べれば、安いと考えています。

つけっぱなしのPCを1台置くと、どこからでも頼める

自宅やオフィスに、性能のいいPCを1台置いておく。そこでAIを好きなように使える状態にして、スマホやノートPC、ほかの社員からつなげるようにしておく。この使い方に、私はかなり感動しています。

私はこのPCを24時間つけっぱなしにして、Tailscaleという仕組みで、自分の端末だけからつなげるようにしています。スマホから、どこにいても大きなPCを操作できる。撮った動画を渡して頼んでおけば、こちらが移動しているあいだにも編集が進みます。

つまずくのは、最初の環境づくりだけ

手間がかかるのは、最初のPCとAIエージェントの設定くらいです。ここで、自分の番組の「型」(テロップの出し方、字幕の決まり、書き出しの手順)を一度作ります。型ができれば、あとは一言と撮影データで動きます。

支援先の会社では、目的に合わせて、渡す道具を変えています。撮った動画をYouTubeに上げていきたいなら、Claude CodeにRemotionを入れるだけです。研修用の動画を作りたいなら、画像や音声を作るAPIもAIが使える状態にしてから、編集の環境を整えます。

頼み方の例です。

  • 最初の1本:「この動画を編集して。〇〇という番組のような仕上がりにしたい。話し方がきれいに聞こえるように、言いよどみや言い直しは音声ごと削って」
  • 型ができたあと:「これ、いつもの感じで編集して」

始める前に、これだけ確かめておくと、途中で止まりません。

  • Claude Pro(月20ドル)以上を契約している
  • PCは、メモリ16GB以上・Core i7級がおすすめ。最低でもメモリ8GB・Core i5級・SSD 512GB
  • 会社で使うなら、Remotionのライセンス(4人以上は有料)を確かめた
  • 外からつなぐなら、自分の端末だけが入れる道を用意した
  • 映る人・地名・取引先の名前を、どこまで出してよいか決めた
  • 最初の「型」を作る時間をとった

環境づくりから、一緒にやります

AiWiLLでは、AI動画編集の環境づくりと頼み方を一緒に整える、AI顧問のご相談を受け付けています。

AI用のPCのリース・設定・保守も、いまサービスとして準備しているところです。まだ固まっていないので、興味のある方は、お問い合わせに「AIパソコンの相談」または「AI×動画編集の相談」とだけ書いて送ってください。PCの組み立てに詳しいCTOも一緒に相談に乗ります。

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