AIの導入支援では、事前に用意した進行ガイドが、そのまま当日の進め方になるとは限りません。ある旅館のセッションでは、詳しいガイドを用意していましたが、実際には相談者の画面操作に合わせて口頭で依頼を重ねていきました。終わったあとの記録を読むと、準備した資料と、実際に役立った案内を分けて振り返る必要が見えてきます。

赤堀亘
執筆・監修 AiWiLL株式会社 代表取締役 赤堀亘

AiWiLL株式会社代表。AI顧問「WiLLAGENT」で、企業の仕事をAIと人が進められる形にする伴走支援を行っています。記事では、実務で使える手順と、人が確認すべき点を明らかにします。

用意したのは、業務を一つ形にするガイドだった

事前のガイドには、扱う仕事を選び、仕事の条件を整理し、AIに実行してもらい、人が確かめ、やり方を残す流れを載せていました。コピーして使う指示文や、つまずいたときの案内も含む資料です。

その日の冒頭でも、計画、実行、確認、マニュアル化という流れは説明しました。ただし、そのあとにガイドのカードを順番に使ったわけではありません。終了後の内部メモには、実際のワークではカードを使わず、口頭で操作を案内したことが明記されています。

資料を作成した事実と、その資料がセッションで使われた事実は別です。この差を残さなければ、後から同じ支援を再現するときに、使われなかった部分まで成功要因として扱ってしまいます。

実際に必要だったのは、いま見ている画面への短い案内

当日は、旅館のお客様向けの案内とサイトの発信に取り組む担当者が、自分のパソコンで作業しました。AiWiLLが画面を見ながら操作を案内し、AIの質問に答えて業務の要件を作る、できた計画を保存する、案内文や記事を作らせる、という流れを進めています。

途中では、どの画面で作業しているかを確かめたり、入力した文章を改行する操作を案内したりしています。接続できない場面では、何が止まっているかを見て、別の進められる作業へ移りました。

完成した教材を最初から最後まで説明することだけでは、この進み方を表せません。相談者が次に押す場所や、今AIへ伝える一文が、その場の進行に必要でした。

復習用には、当日残った仕事から書く

終了後のメモでは、次に資料を作るなら、相談者の操作に沿った宿題ガイドに近い形がよいと振り返っています。これは次の資料への改善案であり、改善後の資料が実際に使われたことまで確認できているわけではありません。

過去に用意した宿題ガイドには、何をするか、どう始めるか、どこまでできればよいかを分けていました。別の回のガイドでは、AIへ渡す指示書を使う作業と、定期リサーチの実行結果を確かめる作業を分けています。

ここで大事なのは、事前計画に載せた項目を、そのまま宿題として残さないことです。この日の記録にも、当日確認しなかった前回の宿題や、実行中で終わった作業がありました。やったこと、できたもの、まだ残ることを分けてから、復習資料へ戻す必要があります。

セッション後に残す、短い振り返り

この記録をもとに整理した、支援者向けの確認例です。

  • 予定した工程のうち、実際に使ったものは何か。
  • 相談者が操作してつまずいたのはどこか。
  • 口頭で加えた説明や、その場で変えた依頼は何か。
  • 当日できた成果物と、実行中・未確認で終わった仕事は何か。
  • 次回の資料へ残すのは、どの操作と確認か。

これを残せば、資料の枚数で提供内容を数えることを避けられます。必要な案内を、その人が次に仕事を進める場面へ合わせて作り直すための記録になります。

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