AIが見積Excelを作れても、表示された合計が正しいとは限りません。数式が入っていること、数式の計算が正しいこと、その数式が会社の見積条件に合うことは三つの確認です。提出前には、入力・計算・業務判断を分けて検証します。

赤堀亘
執筆・監修 AiWiLL株式会社 代表取締役 赤堀亘

AiWiLL株式会社代表。AI顧問「WiLLAGENT」で、企業の仕事をAIと人が進められる形にする伴走支援を行っています。記事では、実務で使える手順と、人が確認すべき点を明らかにします。

まず小さな正解を自分で作る

以下は検証用の架空例です。数量2、単価1,250なら小計2,500。数量3、単価800なら小計2,400。二行の合計は4,900です。税や値引きを含まないこの二行で、数量と単価の参照、合計範囲が合うかを確認します。

項目 入力 期待する結果
通常の掛け算 2×1,250 2,500
二行の合計 2,500+2,400 4,900
行の追加 3行目に100を追加 合計へ含める設計なら5,000
数量の空欄 数量なし、単価あり 会社が決めた「要確認」などの扱いになる
単価の差し替え 旧単価から新単価へ変更 対象行だけが期待通り変わる

空欄を0として扱うか、エラーとして止めるかは、計算式の前に決める業務ルールです。数量が不明な見積を0円で完成扱いにすると、計算は動いていても実務では問題になります。テストの正解はAIに推測させず、担当者が先に指定します。

数式が参照するセルを確かめる

小計セルが数量と単価を参照しているか、合計セルが必要な行を含むかを確認します。別シートの価格表を参照するなら、製品コードと単価の対応、価格表の版も見ます。前の案件の金額を値として貼り付けたセルが混ざっていないかも確認対象です。

Windows版Excelには、数式を段階的に評価する「数式の検証」があります。Microsoftの手順では、対象セルを選び、「数式」からワークシート分析の検証機能へ進みます。これは一つの数式の計算過程を見る機能で、見積書全体の正しさを一括承認するものではありません。

丸めと値引きの順番は会社の基準に合わせる

行ごとに丸めるか、合計してから丸めるかで値が変わる場合があります。率で値引きする場合も、どの金額に掛けるかを明記します。税区分や税額の扱いは、会社が使用する正式な経理・見積ルールに合わせ、この記事の例から判断しません。

見積の計算仕様
小計の式:
数量が空欄の場合:
単価が未登録の場合:
合計に含める行:
値引きの対象と順番:
端数処理の単位と方法:
税の扱いを確認する正式資料:
参照する単価表の版:

AIへ頼むのは、確認候補の洗い出し

「この見積は正しいですか」だけでは、AIが表示値を眺めて問題なしと答える可能性があります。式、入力条件、期待結果を渡し、未確認項目を挙げてもらいます。顧客名や社外秘の価格表は、利用を許可された環境と範囲で扱ってください。

この見積表の確認項目を作ってください。
入力、数式、参照表、丸め、例外に分けます。
正しいと断定せず、検証に必要な入力と期待結果を示してください。
単価や税区分が不明な箇所は、推測せず担当者の確認欄へ残してください。

最後に保存したファイルを開き直し、再計算、印刷範囲、提出用PDFまで確認します。計算シートが正しくても、印刷で行が欠けていれば提出物として完成していません。見積の業務全体をAIと分担する方法は、見積作成へのAI活用で整理しています。

確認に使った資料

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