仕事で使っているAIだけで、印刷して手に取れる絵本は作れます。私は、A4・32ページ・ハードカバーの絵本を、Claude CodeとCodexの2つだけで作りました。Claude Codeに、絵本のコンセプト、品質の基準、全ページで守る絵のルールを設計させ、そのルールをもとにCodexに絵を描かせて、細かく仕上げていく。画像生成の専用ツールは、新しく覚えていません。人がやったのは、何を作るかを決めることと、できた絵を見て直すことでした。印刷すると、肉眼で見てもきれいです。
AiWiLL株式会社代表。AI顧問「WiLLAGENT」で、企業の仕事をAIと人が進められる形にする伴走支援を行っています。記事では、実務で使える手順と、人が確認すべき点を明らかにします。
この記事は、YouTube「AI顧問の現場録」で、できあがった絵本をスタッフに初めて見せた回の記録です。収録日(2026年10月22日)時点の内容です。
この記事の結論
- 絵本はClaude CodeとCodexだけで作りました。A4・32ページ・ハードカバーで、見開きの絵は13枚です。
- 分担は、Claude Codeが設計とディレクション(何を、どんな品質で、どんなルールで描くか)、Codexが絵を描いて仕上げることです。Claude自体は絵を描けませんが、設計と段取りがうまい。
- 先に全ページで守るルールを決めて描かせると、最初から最後までテイストがそろいます。
- 画像生成の専用ツールや、手元の高いパソコンでの生成を覚えるより、ふだん仕事で使っているAIエージェントに任せたほうが、完成まで持っていきやすかった。
- 作ったのは、AIは自分のやりたいことを気軽に形にする道具だ、と広めたいからです。
- 実物は、11月7日のAIクリエイターズマーケット(渋谷)と、11月14・15日のデザインフェスタ vol.64(東京ビッグサイト)で見られます。
動画で見たい方は、YouTube「AI顧問の現場録」の回をどうぞ:AIで絵本を出版!?Claude CodeとCodexだけで1冊作った(2026年10月22日の収録)。
どんな絵本? コインを探しながら、世界を旅する
この絵本は、私が続けているAIアートのプロジェクト「BLUE COIN」の1冊です。見開きごとに、青いコインが7枚かくれています。そのコインを探しながら世界を旅する、という探し絵の絵本です。

最初の見開きは世界地図。そこから日本の夏祭り、モロッコの市場、イタリアの水の都……と国をめぐり、最後は宇宙から見た地球まで行きます。
図解
はじめ
とびら、遊び方と目次、世界地図の見開き
どこへ旅するかを地図で見せる
旅の12見開き
日本の夏祭り、モロッコの市場、イタリアの水の都、北欧の雪の港、インドの色の広場、エジプトの博物館、アマゾンの森、メキシコの色の町、ヒマラヤの山の村、オーストラリアの海辺、南極の観測基地、宇宙から見た地球
1見開きに、コインが7枚
おわり
あとがき、奥付、答えのページ
答え合わせができる
聞き手のスタッフに見せると、最初の一言は「え、これ赤堀さんが作ったんですか? めちゃくちゃクオリティ高いですね」。宇宙のページを開くと、「これ、AIで作ったんですか?」と聞かれました。私のお気に入りは、日本の夏祭りの見開きです。

AIの絵は、印刷に耐える?
耐えます。近くで見てもらうと、「結構きれいですね」「すんごいきれい」という反応でした。
AIで絵を作るとき、いちばん困るのは、ページごとに絵柄がばらつくことです。この絵本では、先に全ページで守るルールを決めて、そのルールをもとに描かせました。だから、最初のページから最後のページまで、テイストがずっと同じです。それを印刷して、肉眼で見てもきれい、というところまで来ました。同じルールで描いた、ほかの見開きです。


私の推しは、背表紙です。ここまできれいにできるとは思っていませんでした。裏表紙も好評でした。作りについては、「売っている絵本と、まったく同じ素材で」作っています。

印刷に耐えるには、絵の大きさも要ります。この絵本の見開きの絵は、1枚が5,032×3,579ピクセルです。
図解
仕上がり
A4の見開き=横420mm×縦297mm
塗り足し
裁ち落とし用に、上下左右へ3mmずつ足す=426mm×303mm
画素
印刷でよく使う300dpi(1インチに300点)なら、426÷25.4×300=約5,032、303÷25.4×300=約3,579
どうやって作った? Claude Codeに設計、Codexに描かせる
作り方の分担は、仕事と同じです。
図解
設計
Claude Codeと、コンセプト、どんな品質にするか、全ページで守る絵のルールを作り込む
描く
そのルールをもとに、Codexに絵を描かせる
仕上げる
描いた絵を、どんどん細かく、きれいにしていく
確かめる
人が見て、ルールから外れていないか、直すところを決める
まず、Claude Codeで設計します。どんなコンセプトにするか、どのくらいの品質のものを作るか、どんなルールで描くか。それを作り込んでから、そのルールをもとに、Codexで絵を作っていきます。作った絵は、さらに細かく仕上げていきます。
スタッフからは、「Claudeは、あんまり画像生成に特化していないイメージだけど」と聞かれました。そのとおりで、Claude自体には絵を描く機能はありません。Anthropicのヘルプでも、Claudeは画像生成ツールのように写真やイラストを作るものではない、と説明されています(Can Claude produce images?、2026年10月23日に確認)。それでも、ディレクションと設計が本当にうまい。だから、いちばん上流の工程をClaude Codeにさせて、段取りの管理もさせる。実行はCodex、という形にしました。
CodexはOpenAIの、指示を受けて作業するAIで、絵を描く機能も入っています。公式のドキュメントでは、組み込みの画像生成には gpt-image-2 を使い、指示に「$imagegen」と書けば画像生成をはっきり呼び出せる、と説明されています(Codex「Image generation」、2026年10月23日に確認)。
Claude Codeを旗振り役にして、絵や動画を作るのはほかのAIに任せる。これは、私のふだんのAIの使い方そのものです。会社紹介の動画を作ったときの話はClaude Codeで会社紹介動画を自作する、どのAIに何を任せているかはClaude Code・Codex・Grok・Geminiの使い分けに書きました。
画像生成AIを、新しく覚えなくていい?
アート系の作品づくりでは、性能の高いパソコンを買って手元で生成させたり(ローカルでの生成)、Midjourneyのような画像生成に特化したツールを使ったりすることが多いです。
でも、AIエージェントに「バッとお願いしたい」となったときは、Claude CodeやCodexのほうが、すごく任せられるし、完成までディレクションしてくれます。ここまで持ってくるには、今はそっちのほうがやりやすかった、というのが私の実感です。
図解
画像生成の専用ツール
Midjourneyなど
使い方を新しく覚える必要がある
手元のパソコンで生成
性能の高いパソコンを買って、ローカルで動かす
機材と設定の手間がかかる
いつものAIエージェント
Claude Code・Codex
任せられて、完成まで段取りしてくれる。仕事で使っているものがそのまま使える
もうひとつ良かったのは、仕事でもともとClaude Codeを使っていることです。それをそのまま、趣味というか、こういう創作のプロジェクトにも使えるところまで行けました。スタッフも「わざわざ新しい画像生成用のツールを使い始めて、使い方を学んでいくのは面倒ですからね」と言っていました。浮かんだアイデアが、どんどん形になる。超楽しいです。
手元のパソコンでAIを動かすのに、どのくらいの性能と費用が要るかは、ローカルLLMは会社で使える?に書きました。
なぜ絵本を作った?
AIは、自分がやりたいことを気軽に形にするための道具なんだよ、というのを広めていきたいからです。
子どもたちが、ふだん絵本で遊んでくれる。そこから「AIでこういうのができるんだ」「AIを触ってみたら、めっちゃ簡単にできるじゃん」と感じてもらう。そうやって、自分のやりたいこと、作りたいものを簡単に実現して、やりたいことをやれる人生を送れる人が増えたらいいな、と思っての一環です。
BLUE COINというプロジェクト自体は、生成AIのアートで、ちゃんと美術的な価値を生み出せることを証明したい、という取り組みです。
今は絵本ですが、漫画もほぼできていて、印刷所に入稿して届くのを待っています。歴史が好きな私が、歴史を題材にして作っている漫画です。この調子で、作りたいものをどんどん作れます。
どこで見られる?
実物は、次のイベントに持っていきます。ぜひ手に取ってみてください。この絵本は、1冊あたり5,700円ほどの原価がかかっています。そのぶん、見てほしい出来です。
図解
11月7日(土)
AIフェスティバル 2026 の「AIクリエイターズマーケット」
ベルサール渋谷ファースト・10時〜17時・入場無料(ドスパラの会員登録が必要)
11月14日(土)・15日(日)
デザインフェスタ vol.64
東京ビッグサイト 西・南館・両日10時〜18時
(出典:AIフェスティバル 2026 公式サイト、デザインフェスタ 公式サイト。どちらも2026年10月23日に確認。)
ほかにも、地元の教育系の学校や地域の催しものなどで、AIを使った作品づくりや出展の機会があれば、どんどん持っていこうと思っています。
この作り方が向かない場合と、先に決めること
どんな絵本でも、AIに頼めば同じようにできるわけではありません。始める前に、次のことを確かめてください。動画では話していない補足も含みます。
- 絵のルールがない:ルールを決めずにページごとに頼むと、絵柄がばらつきます。色、線、光の当たり方、絵の大きさを、先に言葉で決めておいてください。
- 使い道と権利:作った本を売るなら、使ったAIの利用規約で、生成した画像を商用で使ってよいかを確かめてください。実在の作品やキャラクターに似せる頼み方はしないでください。
- 印刷の条件:印刷所ごとに、仕上がりの大きさ、塗り足し、解像度、色の扱いの決まりがあります。画面で見た色と、紙に刷った色はずれることがあります。先に1冊、試し刷りをするのがおすすめです。
- 費用:少ない部数のハードカバーは、1冊あたりが高くなります。今回は1冊5,700円ほどの原価がかかりました。
- AIの利用枠:Codexの画像生成は、ふだんの利用枠を、画像なしの作業より平均で3〜5倍速く使います。たくさん作るなら、APIキーを設定して従量課金で作る方法もあると、公式のドキュメントに書かれています(Codex「Image generation」)。
- 子ども向けの確認:全ページを人が見て、怖い表現や、間違った絵(国の文化や建物など)がないかを確かめてください。
持ち帰り:まず、見開き1枚から
最初の一歩は、作りたい本の見開き1枚を、Claude Codeと設計するところから始めることです。
頼む前に、次の4つを書き出しておくと、1枚目から話が早くなります。
- 誰に向けた、どんな本か(3行で)
- 全ページで守る絵のルール(色・線・光・タッチ)
- 仕上がりの大きさと、印刷所の入稿の条件
- 1見開きに入れるもの(遊びの仕掛けや、隠すものなど)
再現イメージ
あなた
子ども向けの探し絵の絵本を作りたい。まず、コンセプトと、全ページで守る絵のルール(色・線・光・タッチ)を一緒に決めて。仕上がりはA4、印刷は300dpiで塗り足し3mm。
AI(Claude Code)
コンセプトと絵のルールの案を出します。決まったら、見開き1枚分の描く指示を作ってCodexに描かせ、ルールから外れていないかを確かめます。
AIで絵や本を作る具体的な手順は、展示会で配る冊子『Claude Code・CodexでAIアート活動をする方法』のWeb版にもまとめています(Web版はこちら)。
まとめ
仕事で使っているAIだけで、印刷して手に取れる絵本は作れます。私はClaude Codeに設計とディレクションを、Codexに絵を描いて仕上げることを任せ、A4・32ページのハードカバーの絵本を作りました。画像生成の専用ツールは、新しく覚えていません。テイストをそろえるコツは、先に全ページで守るルールを決めることです。
最初の一歩として、作りたい本の見開き1枚を、Claude Codeと設計してみてください。
※収録日(2026年10月22日)時点の内容です。Claude・Codexの機能と、イベントの情報は2026年10月23日に公式の資料で確認した内容で、変わることがあります。

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