ChatGPTやClaude、Geminiを会社で導入した。研修も受けてもらった。あとは「さあ、どうぞ」。
AiWiLL株式会社代表。AI顧問「WiLLAGENT」で、企業の仕事をAIと人が進められる形にする伴走支援を行っています。記事では、実務で使える手順と、人が確認すべき点を明らかにします。
私がAI顧問として入る会社では、この状態から始まることが多くあります。そしてこの状態だと、社員は使う人と使わない人に分かれます。
分かれ目は、職種でも担当業務でもありませんでした。同じ現場、同じ作業をしている人どうしでも分かれます。私が見ている差は三つです。使う動機があるか。使う余裕があるか。そして、人に仕事を頼んだ経験があるか。
この記事では、三つの差の見分け方と、使っていない人に実際にやったこと、うまくいき始めたときのサインを書きます。
使っていないことには、二つの方法で気づく
最初に気づくのは、たいてい担当者か社長です。「あの人、AIを開いていないな」という実感から始まります。
もう一つは、AIの使用量です。使用量を見ると、使っている人と使っていない人の差が見えます。
ただ、使用量で分かるのは「誰が使っていないか」までです。なぜ使っていないかは、数字からは分かりません。
同じ仕事をしている人どうしでも分かれる
「現場の人は使わない」「事務の人なら使う」と、仕事の種類で分けて考えたくなります。けれど実際には、同じ現場、同じ作業をしている人どうしでも分かれます。
バックオフィスの業務をしているメンバーでも、使う人と使わない人がいました。仕事の中身が同じなら、AIが役に立つ場面も同じはずです。それでも分かれるなら、差は仕事ではなく、人の側の条件にあります。
分かれ目になる三つの差
使っている人には、使う動機か、使う余裕があります。そのうえで使いこなしていくのは、人に仕事を頼んだ経験のある人です。
図解
使う動機
使えば楽になる、という理由が自分の仕事の中にある
使うかどうかに効く
使う余裕
新しいことを取り入れる余白と、好奇心がある
使うかどうかに効く
頼む力
部下への指示出し、業務の分解、要件を決めた経験がある
使いこなせるかに効く
1. 使う動機がある
使えば楽になる、という理由を持っている人です。AIを使う理由が、会社の方針ではなく自分の仕事の中にあります。
2. 使う余裕がある
新しいことを取り入れる余白と、好奇心がある人です。今の仕事で手一杯の人にとって、新しい道具を試す時間は、仕事の上に積まれる追加の作業になります。
3. 人に仕事を頼んだことがある
三つ目は、使うかどうかではなく、使いこなせるかどうかに効く差です。
部下を持って指示を出したことがある人。業務を分解できる人。何をしてほしいかという要件を決められる人。こういう人は、AIを使いこなしやすい。
AIのチャット欄は白紙です。そこに何を書くかは、自分の仕事を切り出して、何を渡して何を返してほしいかを決めることと同じです。人に仕事を頼んだことのある人は、それをすでにやっています。研修で操作を覚えただけでは、この部分は埋まりません。
欠けている人には、使い方より先に「頼む手間」を引き受ける
私がやったのは、業務の分解をこちらで引き受けることでした。
その人の仕事を、一つひとつの業務に分けます。そのうえで、いつも使っているチャット、たとえばLINEやSlackで「やって」と言うだけで、AIがその作業をできる状態にしました。
たとえば、こう伝えます。
このチャットに、いつも作っている手書きのメモを添付したら、会社に提出する報告書ができるよ。
再現イメージ
社員
手書きのメモ(写真)
AI
会社に提出する報告書を作りました。
報告書
本人にとって新しいのは、メモをチャットに添付することだけです。メモを書くのも、報告書を出すのも、もともとの仕事のままです。どう頼めばよいかを考えたり、新しいアプリを覚えたりする必要はありません。そうして使ううちに、AIに何を任せられるのか、少しずつイメージをつかんでもらいました。
紙のメモから報告書へ進めた現場の話はAI顧問の1ヶ月目に、レシートの写真から経費の仕訳案を返す形はレシートをチャットに投げた記録に書いています。
手応えのサインは「これもAIでできますか?」
イメージをつかんだと分かるのは、本人から質問が来るようになったときです。
再現イメージ
社員
こういう作業も、AIでできますか?
自分の仕事の中から、AIに任せられそうな作業を探し始めている。最初はこちらが分けていた業務を、本人が自分で切り出し始めた合図です。
使用量の数字が、使っていない人を見つける目印だとすれば、この質問は、使い始めた人を見つける目印です。
この記事では、何人がこの質問をするようになったか、使用量がどれだけ増えたかは数字で示していません。書いているのは、現場で見た変化です。
使っていない人を一人思い浮かべて、三つを確かめる
図解
業務を分ける
その人の仕事を、こちらで一つひとつの業務に分ける
いつものチャットで頼む
LINEやSlackに、手書きのメモを添付するだけにする
「これもできますか?」
本人が、次にAIへ任せる作業を見つけてくる
使っていない人を一人思い浮かべて、次の三つを確かめてください。
- その人の仕事に、AIを使えば楽になる作業があるか
- 新しいことを試す余白が、今の仕事の中にあるか
- 部下や外注に仕事を頼んだこと、自分の業務を手順に分けたことがあるか
どれかが欠けていたら、もう一度「使ってください」と声をかける前に、その人の業務を一つだけ選んでください。その業務を分けて、いつものチャットで「やって」と言えば動く状態を作る。「これもできますか?」と聞かれたら、その作業が次の一つです。
業務の分け方は業務の棚卸しのやり方へ。チャットから頼める働き手としてのAIはAI社員とはへ。導入そのものが止まっている場合はAI導入の失敗パターンへ。業務を分けるところから一緒に進める伴走の中身はAI顧問とはへ。

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